雪原の中の小屋
雫たちは雪原を進んでいく。ただ雪の中を歩いていくのはかなり大変だったので雫は、わんこに乗って移動している。それならわんこの影の中に入っていればいいのにと思うが、雫は雪を見ていたかったためこの形になった。
「雪舐めてたです。なかなかやるです。」
雪原には多様なモンスターがいたが大体のモンスターが真っ白であり雪に隠れて見つけにくいという特徴があった。
「わんわん」
「おー。よくやったです。わんこは雪の中でもいつも通りです。」
しかし感覚が敏感なわんこはそんなフィールドでも自分の能力を遺憾なく発揮していた。
「やっぱりここのモンスターが使ってくる魔法は氷とかです。皆、凍らせられないように気を付けるです。」
自分はわんこのおかげで安全なのをいいことに指示を出す雫であった。
雪を除いても雫はここのフィールドを気に入っていた。それはここのフィールドに出てくるモンスターが可愛いモンスターが多いからであった。
「今度は狸ですね。あと狐です。やっぱりどっちも白いです。でも可愛いです。ふかふかしてるです。」
白色の毛皮は普通よりもさらにふかふか度をアップさせていた。こういった小動物系のモンスターは幻覚等の、知覚阻害を主にやってくるのだが、わんこも鉄ちゃんもそういった魔法は効かないし、アンフェにも効果がなくなってしまったため雫たちパーティーにそのような攻撃をしても雫が驚くぐらいしか効果がなかった。
「うわっ。すごいです。白い狐がたくさんになったです。あれ?狸がおっきくなったです。」
確かに雫たちパーティーの司令塔は雫であるが雫が使い物にならなくてもわんこたちに大した支障はないのだった。
「わーすごいです。なんか……っと終わったですか。よし進むです。」
特に問題もなく雪原を進んでいく雫たちであった。
雪原を進んでいった雫たちは、今小さな小屋の中にいた。
「ここはいいところですね。まあさすがに鉄ちゃんが入るほどの大きさはないですけど。」
「わんわん」
「すまんな、私と相棒のリッスンが住むため用に使ってる小屋だからな。私よりも大きい存在を入ることは想定してないんだよ。」
「ああ、別に気にしなくていいです。」
「それを聞いて安心したよ。で、君たちはここに何をしに来たんだい?こんな辺鄙なところにわざわざ観光ってわけでもないだろう。」
「ここに来た理由です?それは雪原の侍ってのと戦うことです。まあ後は少しは雪景色を見たいってのもあるです。」
「そうか。なら戦おうじゃないか。私がその目的の雪原の侍とやらだよ。」
「ああやっぱりそうですか。ならやるです。まあでも戦うのはわんこだけです。」
「ほう。私のことを舐めているってことかい?」
「別にそういう訳じゃねーです。けど私たちで戦ったらすぐに終わっちゃうです。」
侍の顔に一瞬怒気が感じられたがそれもすぐに消える。
「そうか。君は事実を語ってるだけか。だがそれを私が認めるわけにいかんな。まあいいやろうか。」
侍との戦いが始まる。
雫たちが今まさに戦おうとしているとき第4のボスフィールドでも戦いが行われていた。
「いくぞ。このまま押しきる。」
「このまま押しきる?我相手にそんなことが可能と本当に思っているのか。愚かなことだ。我の樹霊魔法の防御を崩すことなどできぬわ。」
今戦っているのはアックスのパーティーであった。
「魔人の攻撃は俺には、当たらないからな。行けるぞ。」
「わかったわ。アックス。私たちがフォローするからあなたはそのまま行って」
「頼むぞ。コルン。」
自分の一番の相棒の女性で副盟主のコルンに補助を頼みながら魔人に突っ込んでいく。
「確かに貴様には魔法が効かないかもしれないが、それはダメージが与えられないってだけであろう。ならば貴様を行動不可にすればよいだけの話である。」
魔人も成長しているのである。しかし魔人がそう言うとコルンが
「それを私がさせるわけないわよね。」
コルンのフォローで拘束されるのを回避したアックスは、魔人に攻撃を繰り出す。
「あの犬っころを倒すための技だ食らっとけ。『紅蓮斬』」
イベント報酬で新しく手にした攻撃スキルであった。相手の遠距離魔法を使えなくして特大の攻撃を繰り出す。やはりこれがアックスの戦い方であった。そのため攻撃力があるスキルを取得したのであった。
「チッ。じゅ、れいまほ、うのぼうぎょが間に合わ……」
ようやく次の攻略者が誕生した瞬間であった。
「ふぅ。あの魔人との相性はよかったはずなんだがぎりっぎりだったな。」
「まあでもいいじゃない。すぐに次のボスも倒して貴方を倒したあの子達に早く追い付きましょう。」
「そうだな。」
このアックスパーティーの攻略を皮切りに続々と森の魔人攻略が進んでいくのであった。




