激闘の雪合戦
雫は今第6の街の大きな広場にいた。
「それじゃあ小鉄たちとアンフェはこっちです。じゃあわんこと鉄ちゃん、勝負です。」
今から雫たちパーティーはみんなで雪合戦をやろうとしていた。
「ふふふ。わんこと鉄ちゃん、覚悟するです。いくですよ。」
雫主催の雪合戦が始まった。
「まずアンフェは雪玉をつくってくれです。私が投げるです。小鉄たちは相手を撹乱していってくれです。」
雫の作戦は自分の命中率頼みの作戦であった。
「いくですよ。それっ。」
雫が雪玉を投げる。雫が投げた雪玉は、いつものように相手がわざと当たりにいっているかのような錯覚を覚えるほど寸分たがわずわんこと鉄ちゃんのところにいく。それをわんこと鉄ちゃんは雪玉を破壊することで防ぐ。
「あっ、ずるいです。避けるならいいですけど破壊なんてずるです。」
雫の命中率から避けるなんて無茶であるため、わんこと鉄ちゃんが雪玉から逃げるには雪玉を壊すしかないのである。
「まあいいです。じゃあアンフェは……って『影移動』はずるいです。っ小鉄いくです。」
雪合戦は白熱していく。
「やっぱりわんこを倒すには影をなんとかしないとです。」
激闘の結果小鉄たちが犠牲になっていきもう残り一体となってしまった。
「陰で雪玉を投げてくるとは思わなかったです。さすがわんこです。よしアンフェ、あれやるです。ついにお披露目です。」
わんこは今影の中にいた。雫の必中の雪玉を避けるにはここが一番よかったのだ。
「わんわん」
わんこは影の上に雫とアンフェがいることを知覚した。わんこは雫たちに気づかれないようにしながら影を操作して雫たちに雪玉をぶつける。倒したと思い影の中から這い出ると、
「ふふふ。残念です。それは残像です。」
そこには倒したはずの雫が雪玉を持ってわんこが影から出てくるのを待っている姿であった。
「進化してるのはわんこたちだけじゃないです。わんこたちが特訓してるときにアンフェも強くなってるです。」
アンフェが新たに習得したのは「幻惑魔法」であった。樹妖精のドリーから密かに習っていたのである。ただひとつ言うとしたらそんな重要な能力の初出しが雪合戦でよかったのかということではあるが、
「これで後は鉄ちゃんだけです。」
雫が楽しそうなのでいいのだろう。
最終的に雪合戦は鉄ちゃんが全身を使って雪の大波を作ったことで決着となった。というよりも街の住民から雪合戦にしては激しすぎると苦情があったため終わらざるをえなかったのだ。
「ダメですよ鉄ちゃん。あれだと雪合戦じゃなくて雪かけです。」
横やりは入ったが十分雪合戦を楽しんだ雫であった。
真夏に雪合戦という理解に苦しむ遊びを雫がしているなか他のプレイヤーたちは第4のフィールド攻略に乗り出していた。そのなかには最強決定戦入賞者も挑戦していた。なかには森の魔人にたどり着くプレイヤーも現れ始めていた。そろそろ第5の街にたどり着くプレイヤーも出てくるかもしれない。
雪合戦を終えた雫たちは第6の街に住んでいる人たちから話を聞いていた。
「へー、雪原の侍ですか強そうな名前です。」
「そうだろう。まあでもすぐにでも第7の街にいきたいならおすすめしないけどね。雪原の侍が現れるポイントってのが第7の街に向かう道とは全然違う方向だからね。」
「別に急いでないです。」
「それなら腕試しに行ってみるのもありだね。多分フィールドボスよりも単独の強さは上なんじゃないかな。ここらのフィールドでは一番強いことは間違いない。」
「面白そうです。じゃあ行ってみるです。教えてくれてありがとです。」
雪も満喫したのでそろそろフィールドにでることにした雫であった。




