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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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準決勝

最強決定戦の本選準決勝1試合目、まずはわんこの番である。

「最強決定戦も準決勝となりました。準決勝1試合目の対戦カードはわんこVSしにがみです。それでは両者フィールドに上がってください。」

わんこの対戦相手のプレイヤー、しにがみは、わんこを見もせずぶつぶつ呟いている。

「ふふふ。これ勝って次も勝って優勝だ。ついてるぞ、本当によく予選を勝ち残れたもんだよ。ふひひ。」

「それでは準決勝1試合目開始してください。」

なかなか恐いプレイヤーとの対戦である。



「ゴメンね。僕の最強コンボにかかればどんなに頑張っても君が負けるのは必須だよ。」

「くぅん」

謎の悪寒がしたわんこ。いつものように影に入り込む。それから相手の後ろから影を使って攻撃を仕掛ける。

「ふふふ。『超人』」

しにがみが『超人』というスキルを発動する。これは、3分間ダメージを受けないというレアなスキルである。

「じゃあいくよ。」

しにがみは、もう一つのスキルを発動させる。

「これで終わりだよ。『死の宣告』」

しにがみは、目の前のわんこにスキル、『死の宣告』を当てる。このスキルは、発動してから3分後に相手の体力を全損させる。しかしこのスキルは発動時に相手を視認する必要があるし、またこのスキルを発動したら、成功しても失敗してもスキルや魔法が使えなくなるのだ。

「このスキルはリスクが高いけどね、『超人』があればノーリスクで発動できるからね。もう僕の勝利は確定だよ、ふひひ。」

スキルや魔法は発動できないが、発動しているスキルや魔法の効果は残るのだ。

わんこは何度か攻撃を仕掛けるがしにがみには通用しない。

「無駄だよ無駄。もう僕に勝つことは不可能なんだよ。」

その言葉を最後にわんこは攻撃を止めてしまった。


「シズちゃん、わんこちゃん不味くない。劣勢だよ。応援してあげないの?」

「応援してるです。」

「でも凄い冷静だから。」

「大丈夫ですよ。わんこは負けないです。あんな気持ち悪いのに負けることはあり得ないです。」

雫はどんなにわんこが劣勢に見えてもわんこのことを信じているのだった。


「そろそろ3分だ。これで決勝だ。もうすぐ優勝だ。」

しにがみの言葉通り『超人』と『死の宣告』 のタイムリミットの3分が経つ。するとしにがみの前にいたわんこの姿が掻き消える。それを見たしにがみは歓喜に満ちた声をあげ、

「勝った。勝ったぞ、かったん……え?」

その声は困惑に変わる。しにがみは、自身の胸に黒い刃が刺さってるのに気づいた。そして目の前にはわんこの姿も見える。

「なんで、なんで、なんで、お前は死んだはずだろ。なんでなんだよ。」

最後までわんこが無事な理由が分からずにしにがみは倒されていった。


「えーとあれって何?」

戦闘を見ていた人が皆思ったわんこの生還について雫に聞く小枝。

「知らんです。」

「本当に?」

「えーとですね。ああ多分ですけど分かったかもです。多分最初に消えたのはあれです。影分身です。」

「影魔法。さずがだね。でもいつ本体と入れ替わったんだろ。そんな暇なかったように見えたけど。」

「そこまでは知らんです。まあでもさすがわんこです。」


雫の言う通り、『死の宣告』で倒されたのはわんこの影分身である。わんこはしにがみを最初から警戒していた。そのため最初に影に入り込んだ時に本体と分身を入れ換えておいたのだった。

「さて準決勝1試合目の勝者はわんこ。おめでとうございます。それでは続きまして2試合目に移行します。準決勝2試合目は、ベルVS鉄ちゃんです。それでは両者フィールドに上がってください。」


「決勝でアックスと戦いたかったがそのアックスを倒したあの狼を倒せば同じことか。」

「…………」

自分を目の前にわんこの話題を出されて不機嫌な雰囲気を醸し出す。

「それでは準決勝2試合目、始めてください。」

司会の合図と同時にベルが仕掛ける。今までの鉄ちゃんの相手にはない行動であった。それでも鉄ちゃんもちゃんと応戦するが攻撃が当たらない。

「たしかにお前の攻撃力は脅威だ。でも当たらなければ意味無いな。」

鉄ちゃんは、小鉄たちを召喚しベルの回りに飛び回し、攻撃を重ねる。それでもベルには、当たらない。全く当たる気がしない鉄ちゃん。しかし鉄ちゃんは、ベルがさっきから攻撃を仕掛けてこないことに疑問に思っていた。そんな鉄ちゃんの疑問に答えるかのようにベルが呟く。

「お前の攻撃が俺を強くするんだよ。」

ベルの持っているスキルの中に『気溜め』というものがある。このスキルは、相手が攻撃をしている状況で相手の攻撃を避けることでステータスが上がっていくというスキルである。

「どんどん気が溜まっていくのがわかる。」

ベルは攻撃力を最大まで上げて一撃で倒すつもりであった。

「攻撃は隙を生む。だから一撃で決めさせてもらうぞ。」

ベルの回避が続く。端から見ると鉄ちゃんが押しているようだがベルのことを知っている者は、ベルが押していることを分かっていた。


「そろそろだな。今までにないほどの攻撃の応酬。楽しかったよ。」

ベルは自分の攻撃力を最大まで上げた状態で鉄ちゃんの首もとに剣を突き立てる。しかし

「パキン」

鉄ちゃんを切り裂くはずの剣は、折れてしまったのだ。

「えっ、何だって。」

このイベントで鉄ちゃんがダメージを負っている場面を見ていなかったベルは、鉄ちゃんの防御力をはかり間違えてしまったのだ。

剣を失ったベルは、すぐに別の方法で戦おうとしたが今まで回避のために張り詰めてた集中が愛剣が折れたことで切れてしまった。こんな状態で鉄ちゃんの攻撃を回避し続けることはできず、すぐに倒されてしまった。


「さて準決勝2試合目も終了しました。それにより最強決定戦、決勝戦対戦カードは、わんこVS鉄ちゃんに決まりました。決勝戦は、休憩を挟み、一時間後に開始とさせてもらいます。」

長かった最強決定戦も残すところ後1試合となった。








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