イベントに向けて
「そうですか。さえもイベントに参加するですか。」
「うん、今回は、本選に進まないと報酬はないけどやっぱりイベントには出たいしね。しずちゃんは出ないの?」
「私は出ないです。まあでもわんこと鉄ちゃんは、やる気だったです。」
「ああ、あの。それは手強そうだね。でもそうか。そういえば今回のイベントは、テイマーとかには色々と辛いかもね。」
「そうなんですよね。私もわんこたちと一緒に出たかったです。」
「まあでもテイマーの使役したモンスターは、プレイヤーと同じようにレベルアップとかして強いからね。逆にそれありならテイマー有利だよね。」
「まあでももう、テストなんですからさえもゲームばっかりやってないで勉強もちゃんとやるです。」
「はあー、イベントに向けて頑張りたいのになー。」
「テストが終わったら夏休みなんだから我慢するです。」
季節は夏、第3回イベント開催まで約2週間。プレイヤーの順位がしっかりと出るということで上位を狙ってる者たちは、準備に忙しそうであった。
そんな中雫たちも色々と忙しそうにしていた。
「えーと、わんこさんはランと一緒に特訓してるんですよね。で、鉄ちゃんはお姉ちゃんと特訓。色々と大変そうですね。」
「そうなんです。まあ私も色々と使ってみたい素材が溜まってたですし、ゆっくりもしたかったところですからいいんですけど。前にもこんなことがあったです。」
「ああそうですね。あの時はわんこさんが進化したんでしたね。」
思い出話を言いながら今まで採取していた素材を置いていく。
「それで、これがこの前手に入れた荊です。色々と使い道はあるんです。でもあんまり私が使えるアイテムじゃないです。」
「そうですね。荊は武器になら沢山使い道があるんですけど。そういえば、荊姫でしたっけ。そいつを倒した報酬って何だったんですか?」
リクが雫にそう尋ねると。
「ああ、えーと荊です。」
「荊?てことは素材が報酬ってことですか。何かショボくないですか。それともそんなにレアな素材なんですか?」
「えーとです。少し説明しづらいです。でもそうですねまあ簡単に言うとスキルです。」
「スキルで荊ってことは、その荊姫が使ってたと言っていたって言うスキルですか。」
「まあそんなもんです。でもそれの劣化版です。荊姫のは、荊が無限に生えてきたですけど、私が貰ったのは、ちょっと違うです。」
雫が新たに手に入れたスキルの名は『荊森』。荊姫が使ったスキルと違いは、雫が使っている「結界」と同じでダメージ総量が一定を越えるまで荊は、自動で防御と攻撃を行う。雫の弱点であった防御力強化に繋がるスキルであった。
「これがあるとわんこも鉄ちゃんも、私の守りに気を使わなくてすむですから戦闘に役立っていいです。」
荊姫の能力ということで少し複雑だが、能力の有用性は、認めている雫であった。
「そういえば、この亜人の街の先って雫さんは行ったこと無いですよね。」
「無いです。というか先って何です?そんなのあるんです?」
亜人の街は昔、探索したことがあるが亜人の街の先の話など聞いたことはなかった。
「ありましたよ。まあでも人族ですからね。亜人の街のことを知らないのも無理ないですよ。」
リクによると亜人の街の先には、素材の宝庫が存在するという。
「行ってみませんか?あそこはモンスターもほとんど出ませんし。」
「ほとんどってのが気になるです。」
「えーとですね。まあモンスターというか、そのフィールドに蟲使いがいると噂されています。けどまあ噂は噂ですよ、そんな敵を見たことありませんから。」
「そうですか。じゃあ行ってみるです。」
わんこも鉄ちゃんもいない状態でフィールドに向かうこととなった雫である。




