海の民の災難
樹妖精を祀っている人たちである森の民がいるように海王を祀っている人たち、海の民がいる。彼らも森の民と一緒で街の端で海王を祀って暮らしていた。
「儂ら海の民は、元々ただの海の近くに住んでいるだけの村民だったのじゃ。でもここら辺には、海竜や水竜の群れが生息しているからのぉー。ほとんど漁業をすることができんかった。第5の街は海からの資源で栄えていったのに対して儂らの第6の街は寒冷地帯ということもあり漁業も農業もさっぱりで貧しかったんじゃ。そんなとき海王様が現れたのじゃ。そのお陰で今では一定量の海産物が取れるようになり栄えていったのじゃ。」
「へー。じゃあ海王様は私たちの恩人なんだねお爺ちゃん。」
「そうじゃな。感謝の気持ちを忘れちゃいかんよ。」
「うんわかった。」
それは彼ら海の民に伝わる話であり、代々伝わっていった話であった。
「それじゃあそろそろ海王様にお参りにいくかの。」
そういいお爺さんと女の子が海王を祀っている場所に向かう。二人が海王を祀っている祠に向かってお参りをしていると突然。
「ドゴーーン」
祠が吹き飛んだ。二人が唖然としていると、爆心地から声が聞こえてくる。
「やっぱり先があったですね。よくわかったですねわんこ。よくやったです。」
二人は恐怖でその場を動けないでいた。
海王に鉄ちゃんの攻撃が直撃し、海王は海の底に沈んでいった。雫たちはフィールド内に戻り、息を吐く。
「ふう。なんとかなったですね。みんなもよく頑張ったです。」
雫たちの戦闘はほとんどダメージを負わないため余裕があるように見えるが、雫たちは雫が一撃でも食らったら終わりのかなり綱渡り的な戦闘をしているため、特にわんこと鉄ちゃんはかなり神経をすり減らしながら戦っているのだ。
「まあそろそろ先に進むです。」
雫はボスフィールドの先に進んでいく。いつもならその先に門があり、門番が居るのだが今回はボスフィールドの先は行き止まりであった。
「あれ?おかしいです。ここは第5の街と第6の街とを繋いでいるトンネルって話じゃなかったです?」
雫が疑問に思う。
「どうするです。一回第5の街まで戻ってみるです。」
雫が来た道を戻ろうとすると。
「わんわん」
わんこが斜め上辺りに向かって吠えている。
「なんですわんこ。ここにボムですか。まあいいですけど、ここになんかあるです?」
雫はわんこたちの頼みは、理由がわからなくても基本的にやってみることにしている。
「じゃあやるですよ。みんな下がるです。せーの、てい。」
雫がボムを投げ込む。
「ドゴーーン」
大爆発とともに天井に光が指す。
「おお。穴が開いたです。」
雫は驚きながら、わんこたちの助けを借りながら天井の穴から外に出る。
「やっぱり先があったですね。よくわかったですねわんこ。よくやったです。」
すると前にブルブルと震えている老人と女の子がいた。
「どうしたんです。そんなに震えて、寒いです?確かになんか雪がふってるです。」
雫は的はずれなことを言っていた。二人は「お前のせいだ」と言ってやりたかったが、恐怖で口が動かなかった。
二人が再起動するのを待って雫は話を聞く。
「へー。私が吹き飛ばしたところが海王の祠だったんですか。それは悪いことをしたです。まあでもしょうがないです。」
「しょうがないじゃないわ。貴様は許されないことをしたんじゃ。貴様には海王様の天罰が下るんじゃ。覚悟しとれよ。」
すごい剣幕で雫に食って掛かる老人。
「しとれよ。」
女の子も便乗する。
「海王の天罰ってなんです。水でも降ってくるですか?」
「違うは、貴様はもうこの海を越えることは叶わんと覚悟しとれ。」
「なんでです?」
「なんでじゃと。祠を壊しておいてよくもそんなことが……」
「海王とやらを倒して来た私たちに海王がどうやって天罰を食らわすかわからんです。まあいいです。あんまり興味もないですし私たちは先に行くです。」
そう言い残して雫は去っていった。老人は雫の爆弾発言にまたしても呆然とした。




