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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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集中砲火

海王の攻撃は今までのモンスターと同じくフィールド外の海の水を操るのだがその威力は他のモンスターと次元が違った。

「ヤバイですね。火龍のブレスとかと同程度の 威力です。避けるしかないですね。」

元々雫たちは防御力が高くないし、相手の攻撃を防ぐ術を多く持っていない。ただわんこの回避能力のためあまり威力が高くなっても大した効果はないのだが。

「まあどんな攻撃でも食らったら即死亡ですから問題ないです。」

まあ問題しかないのだが雫はいつも通りにしている。

「じゃあ鉄ちゃんは竜たちを頼むです。私たちであのシャチは倒すです。」

戦闘が激しさを増していく。



鉄ちゃんが龍になったために会得したスキルがある。それが『鉄龍』。これは雫が元々使っていた『鉄竜召還』と違い、それよりも「鉄龍砲」に近い。このスキルは鉄ちゃんを模したものを生み出し、それを相手に向かって飛ばす。『鉄竜召還』と大きく違うのは、『鉄龍』は生み出したものは、魔法と同じように残らずに消える点であった。

「………」

そしてもう一つ、『眷属召還』による、小鉄たちも強くなっていた。小鉄の鉄ちゃんですら持っていない能力が飛行能力であった。鉄ちゃんの重量では飛ぶことが出来ないのだが、小鉄たちはその鉄ちゃんの弱点とも言える点をカバーしていた。

けして竜たちが弱いわけではない。第3のフィールドボスの火竜と同等以上の能力を有している。しかし今の鉄ちゃんの相手をするには荷が重かった。


「鉄ちゃんっていつの間にあんなに強くなったです?」

雫は鉄ちゃんの戦いを見ながらそう呟く。

「わんわん」

するとわんこが自分もそうだと言わんばかりに、雫にすり寄ってくる。

「そうですね。わんこもつよくなってるです。これからも頼むです。」

現在ボス戦の真っ最中であるが雫たちは雫たちであった。

「しっかし、中々シャチも強いですね。私のボムもほとんど水使って防いでるです。」

雫のアクアボムの残量も少なくなってきており、無駄遣いはできない。

「よしわんこ。あれやってみるですあれ。」

雫はわんこに指示を出す。

「いくですよ。ていです。」

雫はアクアボムを投げる。しかし同じように海王に届く前に水の壁に防がれてしまう。

「キシャーー」

どうだと言わんばかりに雫たちに叫ぶ。しかし突然、

「ドゴーーン」

爆発音がする。

「ふふん。お前が防いだのはわんこが作った分身です。本物もわんこが隠してたですよ。」

「キシャーキシャー」

海王は動揺を隠せない様子で泣き叫ぶ。

「どんどんいくですよ。」

雫たちの猛攻が続く。本物にフェイクを混ぜたり本物を隠したりと海王を翻弄していた。

「どうですかシャチ。もう終わりです。」

雫の言葉を聞いてか聞かずかわからないが、海王は焦ったように鳴く

「キシャーー」

すると海王の回りを取り囲むように巨大な水の渦が多数出現した。雫が試しにボムを投げ込むが渦によって防がれてしまう。

「シャチも面倒になってやけを起こしたです?」

そしてその巨体な渦のうち1つが海の中から雫に迫ってくる。

「危ないです。」

攻撃にも防御にも使える渦。今度は雫たちが翻弄される番であった。しかもその渦以外にも通常攻撃もしてくるため、余計に面倒であった。

「さてどうしようです。」

雫はわんこが相手の攻撃を避けてる間に海王の防御を上回る方法を考える。いつものパターンである。

「やっぱり一点突破しかないです。よし。おーい鉄ちゃん、早く倒すです。」

雫は鉄ちゃんに竜を早く倒すように指示する。

「…………」

表情には出てこないが鉄ちゃんのやる気が上がる。そして残念ながら、鉄ちゃんの攻撃を水竜や海竜に防げる術はない。今までは2匹の有利によってなんとか持ちこたえていただけであったため、決着はすぐについた。竜たちは「鉄龍砲」に貫かれて絶命していった。

「よーし、いくですよ。ばらばらに攻撃しても防がれるですから、全員の攻撃を合わせるです。」

まず雫は自分とわんこと小鉄たちにあのお蔵入りになっていた「水呼吸ポーション」をかける。そして小鉄たちがまず海王に近づいていく。わんこはグリフォン戦のように小鉄たちにできた影を利用しながら海王に近づいていく。さすがに小鉄たちも無傷ではすまないがなんとか進んでいく。そして小鉄たちの「小鉄砲」わんこの影が一ヶ所に集中して攻撃する。そしてそのときわんこの影から這い出てきた雫が「ていっ」とアクアボムを投げつける。大量の攻撃により渦に穴が開けられる。そのとき

「今です。鉄ちゃん頼むです。」

雫の合図に鉄ちゃんが『鉄龍』を繰り出す。雫たちが開けた穴から鉄ちゃんの攻撃が通り抜け、海王に直撃した。





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