権力者の末路
おおかみこどもを見てたら遅くなってしまいました。すいません。
次の日雫がログインすると回りを男たちが取り囲んでいた。
「誰ですか。なんかようです?」
雫が問いかけると男たちに一人が答える。
「少し待っていろ。すぐにキール様が来るからな。」
「はあ。そうですか。」
雫にはキールが誰なのかイマイチピンと来ていない。
「キール、きーる、きいる?知らんです。やっぱもう行っていいです?」
「だから待てといってるだろうが。人の話を聞け。」
そんな押し問答をしているとやっとキールが現れる。
「やっとつかまえた。貴様、昨日はよくも逃げやがったな。」
「ああキールってお前ですか。で、何かようですか。私もこれでも色々とやることがあるんです。」
「そんなことは知らん。それよりも俺に服従しろ。貴様に拒否権はないぞ。」
「知らんですそんなの。てか服従ってなんです。私に何かしてほしいことでもあるんですか?」
興味無さげに雫が聞く。
「なんだその態度は。貴様は自分の立場がわかっていないようだな。まあいい俺の指示に従えということだ。さもなければこの街で自由にできると思うなよ。」
キールにとってそれは最大級の脅し文句であった。この街の住人はこれを聞いて逆らったものなどいない。しかし雫にこれは効かない。
「そんなことはたいした問題ではないです。面倒です。もう行っていいです?」
「もういい、我慢の限界だ。少し痛い目見てもらう必要があるな。」
キールは雫を街の先のフィールドに連れていく。
「貴様もすぐに気が変わるさ。」
キールは腹が立ちすぎて失念していた。なぜキールが雫を囲い込みたかったのか、どちらが強者なのかを。
「やめた方がいいと思うです。今ならまだ間に合うです。」
雫は思い直すようにキールにいうがキールからすると怖じけずいたようにした見えなかった。
「ふふふ、俺に服従するならすぐにやめてやるぞ。」
「あっそれはないです。ありえないです。」
「なっなんだと。もういいやれ。」
キールの取り巻きどもが雫に飛びかかろうとする。しかしその前に黒い刃がそいつらに突き刺さる。
「は?」
キールには何が起こったかわからなかった。
「だから言ったです。まあじゃあさよならです。」
その声にキールは。
「やめてくれ。俺を殺せばそれこそこの街で…」
「だから、それはたいした問題ではないですって言ったです。人の話はちゃんと聞いた方がいいです。」
キールにとってお前が言うなとしか思えない台詞がキールが最後に聞いた言葉であった。
「よしそれじゃ行くですよ。」
雫は今日も森に入って行った。
小枝は着実に力をつけていった。さすがに第一陣のトッププレイヤーには全然及ばないがそれでもそれなりに力をつけていた。そんな彼女の今一番の悩みが、未だに所属のクランが決まっていないことであった。クラン対抗戦の日にちはまだ先であるが段々と焦りが来ていた。
「難しいんだよな。主なクランは本拠地が第三の街にあるし。あんまり強いフレンドいないんだよな。」
クランの誘いが無いわけではない。やはりこういったゲームの女性の数は少ないため女性ってだけで注目が集まるのだ。しかしやはり小枝としてはやっぱりイベントで上位には入れるようなギルドに入りたいのだった。
「やっぱり高望みせずにどっかのクランに入れてもらうべきかな。」
小枝の強さはパーティーでグリフォンに挑む適性レベルには達していない。その為前のような野良のパーティーも組めないのだ。
「はぁ~私も隠しフィールドとか探してみようかな。」
隠しフィールドにはレアなスキルや装備が手に入るのだという。その為フィールドボスに挑むよりも別のフィールドを攻略するプレイヤーもいるのだった。
そうやってレベル上げを続けていると。
「あなたがこえださんね。初めまして私はレディっていうの。」
小枝に声をかけてきたのはキレイな女性であった。
「えっと初めまして。こえだです。私に何かようですか。」
「ふふ、ここに実力のある女の子がいるって聞いてね。」
ここで小枝はレディというプレイヤー名に見覚えがあることに気がつく。
「あの、レディさんって前回のイベント上位の」
「ええそうよ。それでね貴女にお願いがあるのよ。」
小枝にとってこの出会いは幸運であった。




