森の民と樹妖精
「それでね、私は基本的にソロでプレイしてる人たちで出来た野良のパーティーに混ぜてもらって一撃熊を倒したんだ。」
「へー、良かったです。」
「それでね、少し前にクラン対抗戦のイベントが開催されるって報告があったでしょ。さすがにそれまでにクラン設立は出来ないから仮登録でいいからどっかのクランに入りたいんだ。出来ればアックスさんとかベルさんのクランに入りたいんだけど、まあ高望みはしない方がいいかなって。」
「へーです。」
「あっと、じゃあ私はここだから。また明日ね。」
小枝は雫に手を振りながら帰っていった。
「ふう、えーとクランがどうとか言ってたです。まあ私には関係無さそうです。私も帰るです。」
雫も帰路についた。
雫が第4の街について4日程経過した。雫は大体の情報収集やアイテムの更新を済ませ、準備万端にしていた。
「よしそれじゃあそろそろ行くです。」
雫は第5の街へのメインのフィールドではなく街の端の方にあるフィールドに向かっていった。
街の住民の話だとそのフィールドの先には村があるらしいということだったので雫が、面白そうだと行くことに決めたのだった。
街の端のフィールドにはそこまで強いモンスターが出ることもなくさくさくと進むことが出来た。そして進んでいくと情報通りそこには村があった。
「おー。本当にこんなところに村があったです。」
雫が村を見ていると村から一人の男が出てきた。
「どうしましたか。ここは森の民が暮らす場所です。どのようなご用で。」
「森の民です?どういったことをしてるんです。」
「えーとですな...おお貴女が連れているのは妖精ではありませんか。」
「妖精。ああアンフェのことですね。そうです。」
「それなら話が早い。貴女が連れている妖精。それはこれからどんどん進化していきます。そしてその進化系の1つが我らが祀っている樹妖精、ドライアド様なのです。」
「樹妖精?妖精はみんなそのドライアドってのになるんですか?」
「いえそうではありません。妖精は自分の資質や環境などに合わせて独自で進化します。その進化先の1つがドライアド様なのです。」
「なんだかよくわからんですけど、まあアンフェが何になるかはわかんねーってことです。」
「そうなります。」
「だっそうですよ、アンフェ。」
「~♪~♪」
自分の話なのだがどこ吹く風のアンフェなので雫の回りを飛び回っていた。
森の民が住む村の先には森のフィールド「迷いの森」があった。村人の話ではドライアドの魔法である「幻惑魔法」によってこのフィールドができているらしい。それを聞いた雫は、
「魔法使ってまで人と会わないようにするなんて、なんか話が合いそうです。」
少しシンパシーを感じていた。しかしドライアドにとって不運だったのはこの森にかかっている魔法が状態異常攻撃であったことだろう。直接視覚とかに作用する魔法であったら良かったのだが。雫たちのパーティー。特にわんこと鉄ちゃんは状態異常への耐性が強いのだ。雫たちがドライアドと遭遇するまであと少し。
ドライアドは人見知りでビビりであった。森に引きこもっていたらいつの間にか樹妖精になっていたのだ。しかも人々が自分を祀っている始末だ。そのため人と接する機会が増えてしまうためこの森に幻惑魔法をかけていたのだ。この頃は他の生物に会わず、植物と戯れる日々。
今日もいつもと変わらない日のはずだった。しかし動物の歩く音がどんどん近づいてくる。ぶるぶる震えながら音の方を見ていると突然、鉄の竜の顔が飛び出してきた。その時ドライアドは意識を手放した。




