なんかビミョーです
前回のあらすじ
わんこが仲間になった
「なかなかわんこもやるもんです。」
「わん わん」
雫は今最初の街のなかにいる。
クエスト報酬でワーウルフをもらったのはいいが、そのせいで『無死の護符』の効果時間が過ぎてしまったのだ。
雫は帰還を諦めていたのだが、出てきたモンスターは全てこのワーウルフが倒してしまったのだ。そのお陰で雫もレベルが上がっていた。
レベルアップでもらったステータスのポイントを雫は全部DEXにつぎ込んでいる。
というかワーウルフのお陰で戦闘をしなくてよくなったからである。
「でも相手の方がこいつより大きかったです。なんで勝てたんだですかね。まあいいです。考えてもわからんです。」
クエスト発見のための条件が難しいのだが、そんなこと雫の知るよしもない。
「素材も集まったことですし、錬成とやらをやってやるです。でもどこでやればいいですかね?
ここでやってもいいのでしょうかです。」
雫は悩む。
「わん わん わん」
「うるさいですわんこ。やっぱり人がいないとこでやるです。いきますよわんこ。」
ちなみにわんこは、雫がつけたワーウルフの名前である。
「くぅん」
わんこはあまり気に入ってないようだが、システム上変更出来ない。
雫がマップを見るとわりと街の外れには人がいないところも多いためそこにいくことにする。しかし街の中にモンスターがいてしかもプレーヤーに従っている状況で目立たないはずがないのだが。
「なんか視線を感じるです。まあ気のせいだなです。わんこ。」
「わん わん」
雫はあまり気にしてない様子である。すると、
「おおいそこの嬢ちゃん、少し時間いいかな。」
背の高い男性が雫に声をかけてきた。自分や周りの初期装備とは違ういかにも強そうな男に雫のような女の子が声をかけられたら。思わずうなずいてもおかしくない状況なのだが、
「すいませんです。このあといろいろ予定があるので他をあたってくださいです。」
雫はわりとマイペースだった。
「えっ?」
まさか断れるとは思っていなかった男は呆然としている。その間に雫とわんこはその場を去っていく。男が正気に戻ったのは雫が見えなくなってからだった。
「なんだったんだです。っと、ほらわんこここなら騒いでもいいです。」
雫が来たのは街の外れ。人は誰もいない。
「さて素材の確認です。このメニューってやつもだいぶ慣れたです。」
そういいながら持ち物を確認していく雫。といっても最初のフィールドですごいものが手に入るわけでもない。せいぜい薬草とモンスターのドロップ品くらいのものだ。
「薬草と動物の毛皮くらいですか、あと石。
うーん薬草どうしがいいですかね。『錬成』」
薬草+薬草→失敗
「ダメだったですか。まあ、薬草はまだあるですよ。」
そうやって錬成をやってくうちに何個かは、
薬草+薬草→中級薬草
になった。
「なんとか成功したです。でももう薬草ないです。どうしたもんかです。」
あと錬成していないのは動物の毛皮と石くらいのものだ。
中級薬草同士は錬成しても無駄になることは雫でも何となく理解している。
「うーん動物の毛皮どうしはなんか気持ち悪いです。うーん。」
「わん わん」
わんこがさっき拾った石を口にくわえて走ってきている。
「なんですかわんこ今ちょっと忙しいのです。あっいいですナイスですわんこ。」
雫はわんこのくわえていた石を手に取り中級薬草を選んで言った。
「『錬成』」
中級薬草+石→回復石(微)
「おっ一発で成功です。ん? なんですか(微)って
なんかビミョーです。」
ワーウルフのクエスト出現条件
モンスターを倒したことがないこと。
戦闘職はもちろん生産職もある程度のステータスアップのためモンスターを倒します。
なおかつフィールドにはわりとモンスターが出現するため難易度は高いです。