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好奇心旺盛

  雫たちが聖国中を駆け回り感じたことは、聖国は信仰ポイントにより上下関係が厳密に決められており、信仰ポイントさえ高ければかなり自由にできるだろうということであった。


「おそらく一番聖国で嫌われる要因なのは私が『魔神』ってことだと思うです。だからみんな凄い睨んでくるですけど信仰ポイントのせいで何も出来ず、私たちは自由に調べものができる。自由なのか窮屈なのかわからん国です」


  とはいえこの構造は魔国も同様である。魔国は信仰ポイントの代わりに強さに重きを置いているが。強者が自由に生活するため弱者は窮屈となる。

  

「とりあえず奥行ってみるです奥」

「わん!」

 

 『背教のすすめ』により強者の特権を得た雫は、遠慮することなく聖国の内部へと侵入するのだった。

  

 雫が自発的に行っているプロジェクト『神様を知ろう』。モルモットを自分自身にして行っているこの試みは、雫があまりにもこの世界のルールを知らないため難航していた。しかし聖国には神についてより詳細に書かれている本が多く、中には信仰する神の従属神になる方法や独力で神となる理論について考察しているモノさえあった。これらの理論を詰めていけば雫のとある思い付きも実現できるかもしれない。そんな雫の危険思想を感じ取ったわんこが注意を促す。


「わんわん!」

「分かってるです。『絶対神』について調べに来てるですから個人的な興味は…」

「わん!」

「もうです。全く反抗期です。昔は私が何か造ったら何でも誉めてくれたのにです。面白いと思うですけど『神のこちゃんず』」

「くぅん」

「そんな顔するなです。わかったてす。調べものを再開するです」


 その発言にわんこはほっとするのだった。そのため本棚から一冊の本がなくなっていることにわんこは気が付かないのだった。


―――――――――――――――


 聖国内部に侵入してからおおよそ2時間ほどが経過した。探し物が得意なわんこに、探し物専用のアイテムを造ってきた雫がかなり一生懸命探した結果、『絶対神』イウについて記されているモノは見つけられなかった。逆に様々な所に『絶対神』の名前は登場した。


「これは何を意味するです?」

「くぅん?」

「まあそれは追々考えるとしてです」

「わふ!」

「これからどうするかです」


  『絶対神』について考えるのはホームに戻ってからにするとして、現在雫たちには2つの選択肢が存在した。

 『背教のすすめ』で詐称している信仰ポイントが元に戻る前に聖国を後にする。もしくは信仰ポイントが足りないのに規制エリアにいた場合どうなるのかを確認するため待機。雫は好奇心に勝てず後者を選らぶのだった。


 しかしそれについてはもう既に既出の情報であった。クエスト等を失敗した場合や街中で背信行為をしたプレイヤーの信仰ポイントが減少し追放された事が過去にも幾つか確認されているのだ。

 雫がそれを知っていれば興味をなくしてすぐに聖国を後にしていただろう。そうすれば雫たちと『聖騎士』が接触することもなかっただろう。街中では相手にダメージを与えられないという制約から解放された、聖国内の治安を守る存在たちに。



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