秘匿された情報
このゲームは各街やフィールドに様々な情報が隠されている。NPCから教えてもらったり、特定の条件を達成した状態で任意の場所に行くことで情報を得たりである。雫も過去幾度も隠された情報を有効活用して報酬を得ている。つまり欲しい情報と言うのは探せば意外と見つかるものである。
「『絶対神』って言葉は結構色々な本から出てくるです」
「そだね♪」
「ただ神々のトップって紹介はされてるですけど、肝心の情報は少ないです」
「そなの♯」
「どうしようかです」
王国内の図書館でアンフェとともに『絶対神』イウの情報収集に勤しむ雫。他の神々との関係性や役割など『絶対神』の情報はかなり集まった。その一方で『絶対神』イウ本人の情報は秘匿にされているのか載ってなかった。イウという名前が書かれている本が一冊も無いほどである。
「何か意図がありそうな気もするですし、全く関係ない気もするです」
「とうする♪」
「これ以上調べるならもっと詳しい場所じゃないとです」
と言うことでそういうことに詳しそうかどうか分からないが、ちょうど孤児院にいたハルに聞いてみることにした。
「それなら聖国だと思いますよ。信仰系のクエストとかが多い街ですから」
「そうなんです? ならそこに行ってみようかです」
「でも今は難しいかもしれませんよ」
「なぜです?」
「『神魔大戦』の影響で所属してる国以外の国だと色々と制限があるんですよ。現在、聖国だと信仰ポイントが取得できなくなっていると思います。」
「ふーんです?」
「簡単に言うとポイントが多ければ行ける場所が増えて、使える施設も増えるんですけど、それを取得できないので聖国で活動がしにくいんですよ。シズさんって聖国に行ったこと無いですよね?」
「よくわからんです。どうだったです?」
「ないよ♪」
「だそうです」
「なら難しいと思います」
実際、入国だけなら雫たちの実力なら簡単である。『魔神』であり『人魔大戦』で魔国を勝利に導いた立役者である雫に、『人魔大戦』に参加した名有りのNPCやプレイヤーは悪感情を抱くかもしれないが入国だけなら問題ない。
しかし今回の目的が『絶対神』イウの秘匿にされてるかもしれない情報となれば、行動を制限された状況で見つけられるとも思えなかった。
「…本当に入れないのか確認してみるのはありです」
「どういうことですか?」
「日傘の『日陰者』とかアンフェの『虚幻』で騙せれば入れるかも知れんですし、わんこの影とかでもこっそり入るのは可能かもです」
「そういったズルは出来ないようになってると思いますよ。現に何人ものプレイヤーがそういったズルを試して失敗してるらしいですし」
ハルにそう言われ少し考え込んだ雫。しかし結論的には聖国に行くことに決めた。
「物は試しです。それにもしダメならアレをやってみるです」
「アレですか?」
「えーと、信仰詐称です? いやこの場合はポイント詐称の方があってるかもです」
「どうやってですか!」
「そんなのは聖国に行ってから考えれば良いことです」




