平和な破壊計画
お久しぶりです
仕事にやる気を吸われて早2ヶ月
何とか…
人魔大戦で劣勢に立たされた人側の国にとっての希望であった『神域』。しかし残念ながらイベント『神魔大戦の序奏』の開始により神域は、希望から絶望に変化した。
そもそも探し出すことも入場することも困難な『神域』であるが、わんこが陰神から『神域』を奪い取ったことで他の神々は、警戒を強めてしまった。誰しも自分の『神域』を奪われ、ホームレス神にはなりたくないのだ。
そのため『神域』出現時に現れた石碑もいつの間にか内容が新たに追加されていた。
【人領が侵される時、神々の住まう国が顕現するだろう。神々は弱き者に叡智を、強き者には神器を、選ばれし者には栄誉を授け、人族全体に勝利を届けるだろう
しかし、神領をも侵される事態とあらば、警戒に値する。神々は弱き者を見捨て、強き者を傀儡にし、選ばれし者にだけ恩恵を与え、魔族は滅びに至るだろう。それが人族に利するとは限らないが】
この石碑から読み取れるのは、神が恩恵を与える者をかなり限定し始めたという事である。現に攻略サイトなどには、やっとの思いで『神域』に辿り着いた瞬間、モンスターたちによって強制退場させられた等の情報が多数載せられていた。
そんな鬼畜フィールドと化してしまった『神域』において、優雅に寛ぐ者の姿があった。もちろん雫である。
「…それでわんこが神になってここを手に入れたですか。うん分からんです。突拍子も無いことをしてです。まったく誰に似たです?」
「くぅん」
「まあでも悪くないです。ちょっと暗すぎるのと犬ばっかなのを除けばですけど」
「「キャンキャン」」
乱れもせず綺麗に整列する犬たち。それをわんこ椅子に寄りかかりながら見下ろす雫。自分が製作タイムを満喫している間に勝手に勢力を拡大しているのだ。流石の雫も驚きである。何か犬多いし。
「まあちゃんと面倒みられるならいいです。頑張れです」
「わんわん!」
「「キャンキャン」」
わんこも元陰神の御使い犬たちも嬉しそうである。
「さて本題です。何でか知らんですけど『人魔大戦』が『神魔大戦』に変わるっぽいんですけど、正直あんまり興味が湧かないです」
「わん!」
「ただ魔国所属の奴らから色々と要求が来ているです」
「くぅん?」
「つまり面倒だなーって感じです」
「わん!」
「じゃあ鉄ちゃんたちもここに集めてくれです。集まったら作戦会議です」
面倒の一言で察したわんこは指示通りに動き出すのであった。
もともと生粋のソロプレイヤーである雫は、人の事を考えながらプレーすることに慣れていない。そんな雫が『人魔大戦』に参加するためとはいえ、よく我慢していたと言える。
人にモノを教え、アイテムを造り攻略も頑張る。彼女はそんな献身的な人ではない。今まで惰性でやってきた事は1つの切っ掛けで簡単に覆るのである。
「まさか孤児院に人がいっぱい来るとは思わんかったです。だからその原因を壊すです」
「こわす♪」
「こわすのはいいけどあるじ。げんいんって?」
「『神魔大戦』です」
「くぅん」
「………」
「こわす♭」
「またあるじは。そんなかんたんに」
「私に考えはないです。さあ考えるです」




