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夜と陰 Ⅴ

遅くなりました。

陰を生み出そうとする陰神は自分の身に起きた変化に気付く。いつもは呼吸するように行える陰の生成が覚束無い。仕方なくフィールド内にある陰を操ろうにも陰はビクともしない。

経験したこともない出来事に、反射的に視線を上げれば、嘲笑を浮かべるわんこがいる。


「お前ぇ…戯けたことを」

「わんわん」

「わんわん、わんわんと会話も出来ぬ欠陥品が…ふざけるな!」


見当はつく。フィールドは『夜』。フィールドを掌握する事で陰神の行動を抑え込んでいるのだろう。理屈は分かる。分かるのだが陰神はそれを受け入れる事ができない。

それは自分の権能とわんこの権能が対等な物だと認めることである。自分が欠陥品として廃棄し、『陰』を抜かれたことにより神化した相手をである。認められる筈がないのだ。


ただ陰を出せずあたふたしてる陰神がいる一方で、その陰神を抑え込むのに精一杯でほとんど自由に動けないわんこがいた。神となったばかりでいくら有利空間と言えど、陰神を抑え込むのは並大抵のことではなかった。

それに陰神が気がつく。


「そうか。抑え込まれているという事実は業腹だが、それ相応の代償はあるということだな。もう良い。この下らん茶番もそろそろ終幕としよう」


動けないわんこに近づいていく陰神。彼の想像以上に拮抗した戦いであったが、陰を抑えるためには動けず、抑えなければ勝ち目は薄いわんこ。もう優劣は決した。

歩を進めながら、わんこが先程までの表情からどう変化してるか覗いてみる。しかしわんこは陰神を見ずに上を見上げていた。

今まで理解の範疇外でやられてきた陰神は、またしてもな行動に少しの戸惑いを見せる。その瞬間、フィールドに2つの変化が起きる。


1つは陰神によって消失していた月が再び出現したこと。もう1つはそれに呼応するかのように息絶えていた筈の御使いたちが復活したことである。


「月を元に戻した意図は分からんが、失策だったな。我の下僕まで息を吹き返したようだ。ただでさえ勝ち目はないと言うのになぁ!」

「くぅん?」

「ふん! まあよい。こ奴らにお前を殺させるのも一興か。下僕共! この欠陥品を食い殺せ!」


陰神が命令を発する。しかしその声に応える者はいない。


「き、聞こえているのか! この欠陥品を食い殺せ!」

「グルル!」

「なんだその目は。お前たち、我を誰だと!」


命令を無視し振り返った御使いたち。彼らの陰神を見る目は、氷のように冷ややかであった。

そして


「わんわん!」


わんこの号令が合図となり、御使いたちは一斉に飛び掛かる。


「ギャンギャン!」

「な…やめ! …ぐあぁぁ!」


一瞬抵抗しようと試みるも、物量に負け組伏せられてしまう陰神。


「な、なぜだ! なぜ我のめいれ、いに…我にき、がいを!」


陰に頼ってきた陰神に為す術はない。御使いたちに噛み砕かれ、切り裂かれボロボロにされた。これが御使いたちを都合良く改造し、力により屈服させ続けた者の末路なのだろう。

しかし陰神は最後まで、何故御使いが自分に反旗を翻したのかを理解できないまま息絶えることとなる。


【神域『夜陰』の主神『陰神』を撃破しました。撃破者わんこが神域『夜陰』を奪取しました。これにより他の神達から警戒されます】


【特殊条件『高位神以上の撃破』及び『神域の奪取』が達成されました。これにより特別イベント『神魔大戦の序奏』が開催されます】


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― 新着の感想 ―
[一言] あ、ソイツが犬の鳴き声しかしないのは、主がそうあれかしと願ったからですねぇwww
[良い点] わんこがイケメンすぎる...主への忠誠心だけでここまでやってのけるの最高すぎる [気になる点] 他プレイヤーが完全についていけなさそうなイベントだぁ... いつかラスも陽神倒しに行くのかね…
[一言] 一般プレイヤー(トップ勢含む)が先の大戦の傷や他の神域に奔走してて、 そんなに時間が経ってない中での( 読者体感で、プレイヤーのプレイ時間がリアル1ヵ月以内じゃないかなと感じてる) 次のイベ…
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