表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
383/398

夜と陰 Ⅲ

遅れてすいません。

お久しぶりです。

わんこと陰神の属性、夜と陰はやれることに差異こそあれ、性質的にはほぼ同質のものである。相性差が無いのであれば、出力及び使い方が勝負を分けることになる。

そして当然の事であるが出力の面で、神になったとは言え、一介のモンスターであるわんこが人族や亜人族の間で広く信仰されている陰神に敵う訳もない。わんこが生み出した夜は、陰神の陰に侵食されて行く。そしてそのままわんこも陰に呑み込まれてしまう。


「ふはは、やはりどこまでも欠陥品だな。お前ごときが我を上回ろうなど片腹痛い。陰に呑み込まれ身動きも出来んだろう。ははは、はは、は…なに? 何処だ!」

「…わふっ!」

「な! 我の陰から!」


自分の夜ごと陰に呑み込まれたかに見えたわんこだが、呑み込んだ筈の陰神がわんこの存在を見失った。

そして次の瞬間、陰神の陰からわんこが飛び出してくる。奇襲を受けたこともそうだが、自分が掌握している筈の陰から出てきたことに驚きを隠せない陰神。


「…くぅん?」

「我の陰を使って『影移動』いや『陰移動』を? 欠陥品の分際で…」

「わんわん」

「ありえん。そんな事はありえない!」


陰神は生まれながらにして自由自在に陰を操っていた。そんな自分の陰を元々ただの下僕の一匹であったわんこが利用する。そんな事は有り得ない。幾らわんこが特異な存在であろうとあってはならない事なのだ。

ただ単純な話、誕生からこれまでずっと神であった陰神。強大な陰と共に生きてきた陰神は確かに呼吸をするかのように陰を扱えるのかもしれない。しかし、それを戦闘に活かすことまで上手いと言うことは無い。何故ならただその強大な陰を放つだけで敵は呑み込まれるから。そしてこの『神域』に敵がくること自体がそもそも皆無であるから。

元々、子狼でか弱い雫を守るため試行錯誤して強さを手に入れてきたわんこよりも戦闘が巧い筈が無いのだ。


「ふむ。有り得ぬ現象に少し驚かされたが何の事はない。いくら曲芸が巧かろうと、お前の貧弱な『夜』では我を脅かすことは出来ぬようだからな!」


とは言え陰神の力は本物である。ステータス上では拮抗していても、陰を司る陰神をそれに酷似している夜の力によって傷付けるには、今のわんこの力ではほぼ不可能である。それほど性質的な面での優越はハッキリしている。

そのため陰神は夜以外の攻撃、先ほどのような奇襲による直接攻撃等を警戒すれば良く、逆に言えば警戒している陰神の猛攻を掻い潜り、直接攻撃をする。それが簡単にできないわんこ側はかなり追い詰められている。筈だった。


「……わん。わふっ!」

「だから何度同じ事を…!なん…だと!?」


そこでわんこが選択したのは夜の攻撃であるが、それに脅威を感じない陰神は、回避どころか防御すらせずにただ受けた。その結果は予想外のものであった。

わんこの攻撃が陰神を貫く。ダメージこそ大した事ではないがこの場合、攻撃が通用したことこそが重要であった。しかしそのカラクリはすぐに判明する。


「これは我の陰…1度ならず2度までも我の陰を利用したと言うのか? しかも我に危害を加える形で? 」


わんこは自身の夜ではなく、陰神が先ほど放った陰を利用したのだ。しかし理屈の上ではそうであろうとも、陰神からすれば異常事態である。

いくら陰の扱いに長けていようと、いくら『陰』の性質に近い『夜』の神であろうと、自分の体の一部の如き陰を何の権限もない者に容易く使われる筈が無いのだ。

とそこでふと思い出す。権限ならあると言うことに。


「そうか。お前にも我の陰は入っていたな。その程度の陰でここまでできるとは、お前の欠陥品たる異常性が垣間見えるというものだ」

「くぅん?」

「だがそう言うことなら話は早い。お前に加えた陰を抜けばよかろう。今ここで」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ホントに陰を抜いて大丈夫かぁ。 余分なのが抜けて喜びそうだけど。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ