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苦手分野

 第2回『人魔大戦』のご褒美として雫が用意した装備品やアイテムに満足したメンバーたちは、改めて魔国以外の各エリア、フィールドに出現したであろう神域探しを開始する。

 雫がそこまで興味を示してはいない関係でわんこと鉄ちゃんは魔国へ行きたがっていたが、何故か妙なやる気に満ちているアンフェとシロに連れられて捜索をさせられているのだった。


 そんな皆が神域探しをしている中、1人黙々とアイテム製作を行う雫。するとそこに褒美の受け渡しを終えたあまのまひとつが帰って来た。


「盟主、渡してきたぞ。みんな喜んでいた」

「そうです。なら良かったです。あまのまも手伝ってくれてありがとです」

「いやいや、こちらこそだ。それに盟主から頂いた『神匠の金槌』の試運転にもなったし」


 あまのまひとつの手には雫から受け取った『神匠の金槌』が握られていた。これは金槌に付与されているスキル『憑依:神匠』はまるで神匠が乗り移ったかのように生産系スキル及び関連するステータスに補正が入るというモノだ。この装備1つで上級鍛冶師並みのクオリティの品を造り出せる逸品である。これ以外にもあまのまひとつが身に付けている装備、使っている設備のほとんどは雫お手製の特注品であった。

 これほどの手厚いフォローを彼女が受けているのは、彼女の強化が雫の創作意欲の低下を防ぎ、『神の雫』全体の強化に繋がるためである。


「私が楽器とかも造れればあまのまに頼まなくても済むです。けどどうもできねーですから」

「はは、盟主が全部できたら私のやることが失くなってしまう。それに一応戦闘職の『錬金術師』が何でも製作できたら生産職の立場がない」

「そうです? よくわからんです」


『錬金術師』の特性上アイテムの製造、素材や装備品の強化を得意としている反面、装備品を造ることを苦手としている。武器や防具を造ったとしても形だけ真似た鈍らが出来てしまう。そのため雫が造りたい品ができたときは、既製品やドロップ品を用いることが常である。ただし雫のアイディアに既製品では付いていけないことがよくある。そのため頼りになる生産職の存在は欠かせない。

 頼みやすさと生産者としての腕を考えれば『春の滴』の盟主ハルも候補に上がるのだが、如何せん彼女はこのゲームで1,2を争う生産系クランの盟主であり彼女自信もトップクラスの生産者の1人である。彼女に頼むとなると親友特典で超速でやってくれたとしても数日は掛かってしまうだろう。なので気軽に頼めるあまのまひとつのような存在は貴重なのであった。


「まあ頑張ってくれです。ハル級の腕前になってくれると有難いです」

「荷が重い。まあ頑張らせてもらおう」

「それで今度は神器とやらを造ってみたいなと思ってるです」

「あ、それ諦めていなかったのか。ハル殿が何とか話を逸らせたと言っていたのだが」

「何のことです? 取り敢えずわんこたちが手に入れた武器を使ってです…」

「ま、またこんな超レア装備を湯水のごとく!!」


 今日も孤児院奥の作業室からあまのまひとつの絶叫が聞こえてくるのだった。



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