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現実の日常

  放課後、いつもなら即帰宅する雫だが今日は教室に残っていた。小枝の進級早々に受けた追試の結果がギリギリだったため、追加で出された課題の手伝いに駆り出されているのだった。


「監視役を頼まれたのはまあしょうがないです。でも勉強をあんなに付き合ったのに、ギリギリの点しかとれんのは納得いかんです」

「ごめんって。でも及第点は取れたし…」

「別に怒ってないです。納得してないだけです」


 それを怒っていると言うのではと、小枝は思ったが言葉にはしなかった。


 何とか課題を終わらせ帰路につく2人。勉強は雫が、それ以外のほぼ全ての分野を小枝が支え合うという2人の関係は、1年経ってもさして変化していない。ただ2人が同じ趣味に目覚めるということは1年前には、想像もしていないことであった。


「ユニー種族です? なんかそれになったらしくて、お礼言われたです」

「ユニークだね。いいなー。あれってレアな種クエを特殊な条件で攻略しなきゃなれないから、ほとんどいないんだよ」

「へーです。レアなんですね」


 雫も『フラスコの中の少女』というユニーク種族なのだが、イマイチ理解できてないため薄い反応しかできない。


「私は今、転職クエストをやろうかなって思ってるの」

「転職です? 就職屋で働くでもするです?」

「違うよ。転職クエストは今就いてるジョブを変更するためのクエストなんだ。就職屋でも一応、 転職はできるけどクエストやった方がレベル引き継ぎとかの特典があるから」


 1st、2nd、3rdジョブとあるが、転職クエストを受ける人のほとんどは2ndか3rdジョブを変更する。上位ジョブほどレベルが上がり難いため、レベルがリセットする就職屋での転職ではかなり手間が掛かる。


「転職クエストを何度も受けると称号『転職マスター』が貰えて、サブジョブが登録できるようになるからっておすすめされてさ」

「副業ですか。私は本業で満足してるですね」

「いやまあそういう話でも無いんだけどね。まあしずちゃんは転職する必要ないよね…わんこちゃんとかいるし。あ、そういえば」


 何か思い付いたのか、端末を取り出す小枝。端末に写し出された映像は、雫も見覚えがある風景であった。


「ゲームです?」

「そう! プレイ動画。特にトッププレイヤーの人の動画は再生回数とか凄いんだよ」

「何で人のプレイ動画が見たいんです? 自分でやればいいです」

「えーとね。わんこちゃんたちの戦闘って凄いでしょ? でもそれってしずちゃん以外の人は見れないじゃん。そういうのを見たいなーって人が多いんだよ」

「へーです」

「まあしずちゃんは興味無いか」

「あると思うです?」


 多くのプレイヤーがゲーム内の動画サイトにプレイ動画や攻略動画を上げ、一部のトッププレイヤーの動画は、大手の配信サイトにもアップされるようになっている。

 しかし雫ことシズの動画は、わんこたちにやられた者が撮影した動画や、公式イベントなどの配信などごく僅かにしか存在しない。そしてそんな数少ない動画で異彩を放つシズに惹き付けられ、シズのプレイ動画を見たいという人はかなりの数いたりする。

 今回の話も、小枝がシズのリア友であると知っている人から猛烈に頼まれたためそれとなく話を振ってみたのだが、この感じでは望みは無いだろう。


 小枝とのゲーム談義を終えて家に到着した雫は、ドアを開けようとして鍵がかかっていないことに気がつく。


「む、おかしいです。鍵はちゃんとか閉めた筈なのにです」


 不審に思いつつドアを開けると中から声が聞こえてきた。


「あ、おかえりなさい」

「…………あ、母さんです」

「なにその間。そんなに私がこの家にいるのって珍しいかしら」


 この一年、ほとんどを社宅で過ごしていた人の台詞とは思えないが、別に雫もそれに不満があるわけでもないため何も言わない。


「取り敢えず夕食の仕度するです」

「私も手伝うわよ」


 久しぶりの母娘の交流なのであった。



雫の母って何処かで出しませんでしたっけ? 出そうとして止めたのか? もし出てる話があったら教えて下さい。


追記 感想くれた方ありがとうございました。やはり出てました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 雫のその間って珍しいとかじゃなくて あまりにも会わなすぎて誰なのか分からなかったのでは?
[一言] たしか、雫が最新エリアに到達して立ち往生した頃(ラスが仲間になる前のアプデ前) 夫婦での会話だったかな?親父もソレ以降出てないはず。
[気になる点] 雫も追試受けたの?
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