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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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魅せる爆走

 肉体に搭載されていたほとんどの機能が壊れ、数値的には弱体化したが、結果として狂乱化が解け本来の自分を取り戻したことで、弱体化を考慮に入れても大幅な戦闘力上昇となった最終兵器『自爆』。


「影を経由しての移動か。面白いね『影』!」

「わん!」

「はは、やはり本家には効果が薄いな『影』」


『影刃』だけでなく『影移動』などの攻撃以外も再現する。影を熟知しているわんこには通用しないが、それでもサタンは楽しそうに笑う。


 狂乱状態だったサタンは、『完全再現』を単なる攻撃スキルとして使用していた。だからこそ威力の強弱や複数を同時に再現できないことは、欠点でしかなかった。しかし今のサタンはその欠点を駆け引きの材料にしたり、欠点すらも利用したりして攻めてくる。


「ディアボロス。彼の相手にバフ、デバフを掛けて操る戦法。あれは嬉しいことに私を参考にしてくれてるんだ。まあ彼は私のより大変だけどね。『援』」

「くぅん」

「私のは解除が必要無い分楽なのだよ。『妨』」

「わふっ!」


 ディアボロスの得意とする、相手にバフ、デバフを掛け相手のステータスや魔法、スキルの威力や制御をコントロールする戦法。これを行う場合、掛けたバフ、デバフを解除する行為は、術者の負担となりうる。高速戦闘なら尚更だ。

 しかし別の再現をした瞬間に自動的に解除される『完全再現』ではこの戦法を簡略化することが可能なのだ。しかもステータスでわんこたちに肉薄するサタン相手だと、ディアボロス戦のように強引に攻めての突破も難しい。


「…思ったよりもステータスが下がってねーです。もしかして肉体の機能がまだ生きてるです?」

「君のスキルを使わせてもらって壊れた機能を組み合わせて修復したんだ。それにしても『錬金術の真理』。凄まじいスキル、そして技量だ。一度でストックが切れてしまったよ」

「それほどでもないです」


『完全再現』のストック数は再現するモノのレベルで変化する。雫の技量で行使する『錬金術の真理』を再現するとなると一度が限界なのだろう。

 誉められて上機嫌だったのも束の間、サタンは雫をざわつかせる『再現』を披露してきた。


「わんわん」

「よっと、『爆』、からの『剣』!」

「わふっ!」

「…なに、あれは爆風走法です!?」

「あれ だね♪ でも♪」


 雫が『ダイダロス』で開発した爆風走法。またの名を自爆走法は、ボムにより発生する爆風を利用して移動する方法である。難点として爆発をもろに食らうため、命がいくらあっても足りないところである。

 しかしサタンは爆発を再現した瞬間、すぐに別のスキルに切り替えることで、爆発を解除し食らう爆発を最小限に抑えての移動を魅せた。

 自分が開発した技の進化系とも呼べるモノを見せられ心穏やかではいられない。それが伝播したのか、わんこたちの攻撃も徐々に苛烈さを増すのだった。


 わんこたちは果敢に攻める。しかしサタンの引き出しの豊富さに翻弄され、攻めてる筈が徐々にダメージが蓄積しだす。仕方なしに雫から渡されたポーションを飲むわんこ。その隙にサタンも事前にストックしていたであろう、回復系のスキルを再現して傷を癒す。


 サタンの能力上、長期戦は不利な筈だ。『永遠の聖命』が壊れており回復系のスキルのストックも切れ始めて来ている。ストックも狂乱時のサタンが無駄撃ちをした分含めかなりの数削った。それでもサタンは四天王級のスキルを再現しなくとも、下級のスキルの再現で、わんこたちを翻弄するコンボを産み出せる。


 息詰まる戦闘に疲れた雫。もう一気に決めたい欲が現れだす。


「鉄ちゃん。『幻鐵龍化』で畳み掛けろです」

『……』

「何でです」

「わんわん!」

「アテナを倒した強化法かな? 見てみたいね」


 雫の提案『幻鐵龍化』を渋る鉄ちゃん。それに首を傾げているとわんこが説明してくる。『幻鐵龍化』はリスクのある強化スキルである。龍神となりリスクは多少緩和されたとは言え、発動終了後の戦力減少は否めない。

 しかし『完全再現』は別のスキルを再現するという方法で、強制的にスキルを解除できる。『幻鐵龍化』の制限時間前に解除することでリスクを回避することが可能かもしれない。サタンの余裕そうな態度からもこの仮説は信憑性を増す。

 戦況は拮抗してるからこそ、迂闊な事はできないのだ。


「そうですか」


 それらの指摘を受け、暫し考える雫。結論は直ぐでた。


「わかったです。鉄ちゃん『幻鐵龍化』で畳み掛けろです」

「わんわん…わふっ!?」

「………?」

「冗談じゃねーです。大丈夫、考えがあるです」


 考えた結果、特に指示に変更は無かった。


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