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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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魔族王の肉体

迫りくる魔王サタンを見て雫は笑う。


「検証その1です。ていっ!」


サタンに投擲したのは通常のボム。サタンの向上した防御力をもってすれば、直撃しても大したダメージは与えられないだろう。

それをサタンは挑発と捉えたのか、迎撃の体制をとる。


「小賢しいな。『爆』!」


サタンが手をかざすと爆発が起きた。雫のボムはサタンの放った爆発により相殺された。いや厳密に言えばサタンの爆発の方が少し威力が弱いのか、完全には相殺しきれていないようだが、誤差程度である。


「よしです。検証その2です。わんこ」

「わんわん!」

「だから小賢しい真似をするなと言っている! 『影』」


爆風を掻き分けてくるサタンをわんこが迎え撃つ。わんこが影の刃を展開するとサタンも同様に影の刃を生み出し打ち合う。するとわんこの方の影の刃が斬られてしまった。


「なんだ。その柔い刃は!」

「わふ」

「ふむです。そんな感じですか。なら少し遊んでやれです」

「わんわん!」


しかしわんこがそれに驚いた様子は無く、煽られても気にしない。そして雫の指示通り、影を再度展開し今度はサタンの影を圧倒しだす。


雫が行ったのは検証。もっと言うと『完全再現』の検証である。その1でサタンは、雫のボムを再現した。それにより再現できる範囲はスキル以外にも拡張され、受けなくても視認、しかも観戦による視認でも可能となった。

サタンが再誕してから雫がボムを使ったのは限られている。状況から見てカムイ戦だろう


「それにです。『異界の轟音』の時に投げた自爆覚悟のボムと、止めように投げたボムは威力が違ったです。さっき再現されたのは自爆用の少し弱めのやつですね」

「ということは」

「それで検証2です。わんこにはいつもよりも弱めの『影刃』を出させたです。すると打ち負けたです。そして今度は通常より強めのやつだと打ち勝ち、それを今のところサタンは再現できてねーです」


つまりこの検証で判明したことは再現できる範囲の拡張。そして、ストックされているモノと同種で威力が異なるモノはストックできない。おそらく最初のストックを使いきるまで。


「あとは一度に複数の攻撃は再現できないですかね? そこはまだ分からんですけど」

「すき おお♪」

「そうですね。っとわんこ下がれです」

「わん!」


影での打ち合いでは勝機がないと悟ったのか、再現を止め、肉弾戦に切り替えてきた。それを見た雫は後退の指示を出す。サタンの突き出した右手はそれなりに危険な代物なのだ。


「くぅん?」

「あれ、言って無かったです? あの右手は『不浄の右手』。触れた者を多数の状態異常をミックスした『重感染』にするです」

「わぅー」


それを聞いてわんこは雫に準備中に言えよという視線と、他に何があるんだという視線のミックス視線を浴びせる。焦った雫は思い出せる範囲で造った肉体を思い出す。


自身のHPを消費して『生体武器』を造る『創成の左手』。これはエリクサーを創成する『永遠の聖命』と相性が良い。そしてアイに造った『三眼』から幾つかの機能を除き一纏めにした『天眼』。どこでも足場にすることが可能になる『空駆の脚』。あとはステータス向上や耐性を高める組織や臓器。そして普段は使えぬように制限を掛けてある最終兵器。ざっと思い付く限りでこの程度である。


「こんな感じです。あんま細かくは覚えてねーです」

「…おん」

「ごめんです…」


わんこは後で分かってるよね、という視線を向けてきた。後のお説教が確定した瞬間であった。



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