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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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閑話 敗者の関係

アイディアを貰ったので書いてみました。何話か閑話かもしれません。

『虚道』で呆けているカムイに老人が近づいてくる。『絶壁王』ガルジアであった。


「二人きりで会うのは何年ぶりかのカムイ」

「…ガルジア。まさかあんたまでまけるとはおもってなかったよ。ざんねん」

「ほほ、老いには勝てんの。まあ全盛期でもどうじゃったかわからんが。それより相変わらずの若作りじゃな」

「…うるさいよ。それは幼魔族への侮辱か?」

「ほれ、口調が戻った」

「…魔族的には老けてるあんたの方が例外なんだよ」

「ほほ、すまんの。同じ時代を生きたお主と王が若々しいからの。少し揶揄った」

「まったく」


 親しげに会話する2人。彼らは同年代。しかも四天王に就任したタイミングも近く気安い関係なのだ。見た目少年のカムイと老人のガルジアではお爺ちゃんと孫にしか見えないが。


「しかし『絶壁』を使って負けたのは、王以来じゃの」

「…僕もだよ。『虚構』も『虚無』も全部破られた。完敗だよ」

「ふふ、そうじゃな。ソドムもやられそうじゃし、これは完全敗北じゃな」

「あ、ほんとだ。ダメダメだね」

「鍛え直しじゃ。今からどこまでやれるかわからんがの」

「…ならガルジアも再誕すれば? それかあの子に若返えらせてもらうとか」

「ほほう! 打診してみるかの」


 2人は笑い合いながら、旧交を温めるのであった。


 ―――――――――――――――


『ゴモラ』近郊。『四道』で敗れた2組のパーティーはここで復活していた。


「ナルタル様。これからどうしましょうか」

「流石に『死ナバ諸共』を使って再戦挑むほど恥知らずじゃねーぞ俺様は」

「ナルタル、君は相変わらずだ。悔しいときは素直にそう言った方がいい。強がりなのは昔からだが」

「あ? …ジーク。黙れよ魔人族の落ちこぼれが」


 ナルタルに話し掛けるアテナの父ジーク。しかし返ってきたのは拒絶であった。父親にそんな態度を取られれば、アテナは黙っていない。しかし


「なに、おま…」

「いいんだアテナ。魔人族にとって自身の研究を成功できぬ者は落ちこぼれだ。彼の言うことは間違っていない」

「でも」

「いいんだ」


 ジークはアテナを宥め、ナルタルに向き合い頭を深く下げる。


「研究を失敗し龍のなりそこないになった私を、粛清しようとした長老たちを抑え、妻と娘が魔女族の里から追放しないように口利きをしてくれたのは君だろう? 礼を言うのが遅くなってすまなかった」

「…誰にってルクアさんしかねーよな。あれはアンタみたいな落ちこぼれを、いつまでも気にかけてる長老どもが鬱陶しかっただけだ」

「それでもだ。ありがとう。タイミングを見計らっていたら、こんな時になってしまったが」


 そんな言葉を聞いたナルタルは、ジークの方を見もしない。しかしその表情はどこか怒りと悲しみを堪えてるように見える。


「それだけを言いたかったんだ」

「まてよ」


 そして言葉が漏れ出す。


「1つだけ言わせてもらうぜ。なぜ、なぜあの時俺様に一言も無しに里を出た。俺様じゃ頼りなかったのかよ先輩…」

「すまない。すまなかったナルタル」


 憎まれ口を叩き、拒絶していたナルタルの思わず溢れた本音に、崩れ落ちるジーク。

 ナルタルに迷惑は掛けたくないと思い何も言わずに出ていったジークと、頼って欲しかったナルタル。いつも見ない両者の姿にしばらくの間、誰もそこから動けなかった。


閑話だと作ったけど書けなかった設定も生かせますね。

初期設定で書いてるので、矛盾点があるかもしれません。もしあったら言ってください。

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