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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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虚仮威し

 防御の技術が卓越していたガルジアに対して、攻撃の技術が卓越しているソドムは、その応用でわんこの不意討ち、鉄ちゃんの肉弾戦、ラスの茶々入れを上手くあしらっていた。まるで此方の攻め気など見透かしてるかの如く。


 そのため最初は完全にソドム優勢だった。しかしソドムが持つ破壊の性質に気付き、わんこたちが長期戦を望んでいることを察した途端、戦況は一変する。攻撃は最大の防御。攻撃を起点とする防御を得意としていたソドムが、武器の消耗を恐れ積極性を失っていく。それ即ち防御にも綻びが出始める。

 しかも懸念材料は武器以外にもある。未だに戦闘に参加せずお食事会を開いている雫たちである。


「貴様の主は呑気で羨ましいな」

「わん!」

「皮肉も通じぬか!」


 ソドムを侮ってるとしか思えない態度だが、わんこたちと同じパーティーである以上、フィールドへの侵入は自由。基本放置で構わないとは言えわんことの戦闘をしながら、手を出せない相手にまで気を配らなくてはいけないのは、かなり神経を磨り減らす。


 そのためソドムは決断する。


「『破壊神』発動。残り武器数は5で敵は6人。足りるな」

「わん!?」


 ソドムの異様な雰囲気に警戒度を引き上げるわんこ。しかしそんなわんこを嘲笑うかのようにソドムは攻撃を否、殺戮を開始する。

 先ほどまでもわんこと並ぶほどの速度を誇っていたが、『破壊神』となったソドムの速さは桁が違う。あっという間に鉄ちゃんを切り伏せる。それと同時に使用した剣は跡形も無く崩れ去る。


「1人。そして2人!」

「ピェ!」


 剣を新たに装備し、それをラスに向かって投擲する。剣は、ラスの纏う熱気さえ切り裂きラスを貫いた。ほぼ不死身な筈のラスは身体に空いた穴が何故か塞がらず、墜ちていった。


「そして3人!」

「わ、わふ!」


 圧倒的速度で迫り来るソドムに成す術なく殺られるわんこ。得意の影すら展開することは叶わなかった。

 瞬く間にわんこたちを倒したソドムは、それでもまだパンを口いっぱいに頬張る雫を睨み付ける。


「配下は倒した。下りてこい」


 しかし雫はそんな怒れるソドムを見下ろしつつも何も言わない。そんな態度に業を煮やし再度言葉を発しようとした瞬間、


「ぐぅ あ?」

「わん!」


 自身の胸を黒い刃が貫いてることに気が付く。見ると、斬った筈のわんこ、鉄ちゃん、ラスがそこにはいた。混乱する頭を必死に動かし考える。すると1つの可能性と疑問が同時に沸き上がる。


「影分身か? しかし確かに手応えがあった。ただの影魔法に騙されるほど、それこそカムイ程度でなければ…!」

「わん!」

「しかし、お前は『虚道』には行ってない筈。どうやって…」

「くぅん」

「わんこ、答えなくていいです」


 いつの間にかボスフィールドに入場していた雫たちはわんこにそう指示する。


 わんこは『虚影』を習得し、ソドムを騙した。何故『虚の因子』延いては『虚の理』を持たないわんこが『虚影』を習得したのか。それは単純である。『信仰されし者』からの『付与錬成』である。

『信仰されし者』は信者の能力を使えるようになる能力である。勿論、雫は戦闘センス0であるから、『虚の理』があっても発動すらままならないだろう。しかし『虚の因子』を自身の『付与錬成』の対象にすることは可能だ。

 そして時間制限がある『付与錬成』だが、一度『虚の因子』が付与された瞬間、センスの塊のわんこは『虚影』を習得したのだ。それに気づけなかったソドムは『虚影』を斬り伏せ勝ち誇っていたのた。


「…敗けだ」

「わん!」


 自身の能力を知られたせいで不利な戦闘を強いられたソドムを見ての雫の判断に、従う形でわんこは止めを刺す。本当に見てたかは置いておいて。


【『破道』を極めました。報酬として『破邪の剣』、『破滅の輪』が贈られます。特別報酬。該当者シズが『破壊者』の称号を獲得しました】


「何もやってねー私です? しかも失礼な称号です。ね、わんこ」

「…くぅん」


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― 新着の感想 ―
[一言] いや、あんたアイテムによるダメージ値及びオブジェクト破壊数だけでレコードホルダーになれるレベルにぶっ壊してるだろ…
[一言] 世界の理を破壊してるから
[一言] 雫程その称号が適したプレイヤーはいないんだよなぁ……
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