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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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戦闘巧者

 ディアボロスの得物、戦斧は高い攻撃力に対して取り回しに難がある。攻撃の頻度では無く、質を重んじる武器、そして支援職であるディアボロスは本職に比べて戦斧の適正が高い訳でもない。そのため普通ならば、一撃一撃は慎重に放つ筈だ。回避力に定評のあるわんこが相手ならなおのこと。

 しかしディアボロスは巨大な戦斧を剣を扱うように安易に振り回す。そんな隙をわんこが見逃す筈は無いのだが、今回ばかりは話が違う。


「わん!」

「肉体制御ができてませんね。『激励』」

「くぅん」


 ディアボロスは戦闘中、逐次わんこに対してデバフ、そしてバフを掛けてきた。ステータス等が下がるだけなら兎も角、適当なタイミングでステータス、スキルや魔法の発動速度、制御力などが上昇下降を繰り返し、その上昇率なども状況を瞬時に判断したディアボロスにより選択される。

 自身の身体に無頓着な雫のように者には意味の薄い戦法だが、わんこのように肉体制御が完璧である者には絶大な効果がある。


「調子、悪そうですね? 『抗減』『人体掌握』」

「わ、わん!」


 それだけではない。ディアボロスは支援以外にも、敵味方を操る支配系統のスキルも数個保有していた。これも本職には及ばないが、わんこを数瞬止めることができる。

 これらを併せられるため、わんこは慎重に動かざるを得ない状況に追い込まれていた。


 戦況を完全にディアボロスが掌握している。そう思われた。しかしシロの一言で状況が一変する。


「わんにい、しんちょうすぎ。あんなやつたいしたことないよ」

「わふぅ?」

「あるじみたいなとくべつなかんじがない。うまいだけ」

「…わん!」

「ピェーー!」

「ラスはしずかにしてろ」

「ピィッ」


 ディアボロスは確かに戦闘巧者である。直接戦闘に向かないスキルも多い中で、それらを用いてわんこを翻弄するのは並みの者ではできぬ芸当だ。また支援職でありながら、戦斧を振り回し支配系スキルまで使う。状況に応じてマルチな活躍ができる存在である。

 だからこそシロも上手いと表現した。しかし上手いだけである。直接戦闘力が不足している。特に火力面が劣るため戦斧で補強する。しかし取り回しに難があるため、スキルで補強する。結果としてディアボロスはステータス面だけを見れば中途半端な存在なのだ。


 いつもなら雫が感じ指摘するのだが、今はいない。そのため少し混乱したが、シロが代わりに指摘したお陰でわんこの覚悟が決まる。

 わんこは自身に影を纏う。漆黒となるわんこ。それを見てディアボロスも構える。


「わん!」

「来ましたか。『マリオネット』」


 突進してくるわんこに対して放ったスキルは『マリオネット』。ディアボロスが持つ最強の支配系スキルだ。わんこの動きは大きく阻害される。

 そこにディアボロス渾身の振り下ろしが炸裂する。

 しかしここで『マリオネット』を選択する当たりディアボロスの脆さが現れている。雌雄を決する場面で火力ではなく、命中率を高めなくてはいけないのだから。


「…止められましたか」

「わん!」


 纏った影は突破したがそれが限界。わんこを傷つける余力は残っていなかった。

 ディアボロスは、地面から際限なく出てくる漆黒の刃に為す術は無かった。


【『戦道』が極まりました。報酬としてアイテム『宝物庫の鍵』が贈られます。特別報酬。該当者は存在しませんでした。代替としてアイテム『戦の心得』が贈られます】

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