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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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終わりの意味

 わんこは走った。影内に鉄ちゃんたちを入れ、できる限りの全速力で。『ダイダロス』から先はモンスターは出現せず、高位魔族が行く手を阻んでくる。いつもなら鉄ちゃんたちを出して交戦するのところだが、今回は無駄な戦闘を避けるため逃げに徹していた。

 雫からの指示はそこまで急ぐなである。その指示と逆行した行動を取り先を急ぐ。わんこたちは、雫がよからぬ事を企んでいることを察していた。


「わんわん!」


 雫の企みは、自分の身すら危険に晒すことが多く、出来れば止めたい。わんこたちが本気で止めれば、了承するだろう。しかしそれは雫の良さを潰す行為だ。

 だから結果で黙らせる。わんこたちが急がなかったけど早めに着いたスタンスでいれば、雫は何も言わず、次は予想外の手法でわんこたちを黙らせてくるだろう。それが雫とわんこたちの関係性なのだ。


 今迄に無いハイペースで進む一行。しかし徐々に足を止める回数が増えてきた。


「…おい、来たぞ!」

「狼だけだと? 聞いてた話と随分違うぞ?」

「んなことはどうでもいい。潰せ!」

「逃がすなよ!」

「わん!」


『ゴモラ』近傍に配置された魔族共は、直属兵によってスカウトされ、魔族王に下った各地の有力者たちであった。その中では弱めな彼らの役割は時間稼ぎ。雫たちやナルタルなどのスカウトを断った者たちの行く手を阻むのが仕事である。そのため通常のモンスターを相手にするよりもよっぽど手間が掛かる。

 だからこそ、わんこは『スーパースター』で敵の出現率を爆発的に高めるアンフェが同行してないことに感謝するのだった。


 結局、わんこたちは出発から4日目にして『ゴモラ』にたどり着く。普通なら1週間以上掛かる道程であることを考えれば、かなり早いペースと言える。しかし真に過酷なのはここからであること、わんこたちはすぐに痛感することになる。



 終わりの街『ゴモラ』。ここが終わりの街と称されるのは2つの理由からだ。1つは魔国の最端に位置しており、魔都からも1番遠いためである。そしてもう1つは、生きることの叶わない終焉の場所だからである。

 灼熱の炎が吹き出し、地が裂けるほどの重力で身動きは封じられる。シロやラスなど容易く吹き飛ばす強風が吹き荒れ、死毒が漂い、硫酸の雨が降り注ぐ。そんな異常現象が街のあちこちで起こっている。安易に都市に入ったわんこだが、鉄ちゃんたちを影内に入れたままであった。異常に気付き引き返さなくては、影中への緊急回避が使えぬわんこに甚大な被害があったかもしれない。


「こわいとこ。ここをたんさくはやだな。あるじになにかつくってもらお」

「…わん!」

「…………!」

「えー」

「ピェーー」


 こんな危険な場所を調べ、魔族王が根城とする都市へと続く道を見つけなくてはいけない。その難易度は言うまでもなく高い。

 ならば雫にギミックを軽減、無効化するアイテムを造ってもらえばいいとシロは言う。しかしわんこと鉄ちゃんは反対する。


「わんわん!」

「…いじっぱりだねわんにい」


 今、雫は素材不足の中で魔族王やその配下たちの対策アイテムを鋭意製作中である。それを邪魔するのならば、ここは一旦、素材集めにでも精を出すべきである。

 シロの言うとおり意地である。


 取り敢えずわんこたちは神聖魔法によりフィールドの浄化を行えるアンフェを呼び寄せ、慎重に調査を開始するのだった。





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