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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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黒幕

  孤児院に戻ってきたわんこたちは、地下街で得た情報を雫に伝えていく。終わりの街『ゴモラ』の先にある都市についてや、『完全再現』が強化された恐れがあること。他にも魔族王の配下に下った、キノコに侵された直属兵が知る限りの魔族の情報など色々とだ。


 四天王の『魔国王』改め『戦争王』ディアボロス。『破壊王』ソドム。元四天王の『絶壁王』ガルジアなど主力級は有名なのか、多くの情報が集まった。

 そんな中、ガルジアと同様、元四天王でありながら直属兵ですらほとんど知らなかった者もいた。名前すら知られず、異名のみが知られている。その名を『虚無王』。


「わんわん!」

「へーです。ナルタルの前任ですか。なら聞いてみても…いや『十二守護魔』に聞いた方が確実です」

「……!」

「分かったです。私が聞いとくです。わんこたちは、もう魔族王の所に向かうです?」

「わん!」


 善は急げと言う言葉通り、わんこたちは急いで終わりの街『ゴモラ』へ。そして魔族王が根城にしてるという都市に向かうつもりであった。

 わんこたちは魔族王は放っておくほど『完全再現』により戦闘のバリエーションが増し、厄介になっていくと考えたからだ。


「…まあわんこたちがそう考えるなら任せるです」

「くぅん?」

「確か『ゴモラ』までは遠かった筈です。私も色々と対策を立てるです。あんま飛ばし過ぎるなです」

「…わん!」


 雫の含みのある言い方に気になりつつも、わんこたちは出発した。


 雫の考えはわんこたちとは逆で、時間経過により魔族王の強さはそこまで変化しないであった。『完全再現』は受けたスキルを再現するモノだが、それはそのスキル本来の保有者の威力や精度などまで完璧に再現するモノだと考えていた。そうでなければ、使用するのに技術が必要なスキル、例えば『錬金術の真理』を使えると言われても雫は納得出来ない。

 そしてそうだと仮定すると、攻撃スキルであれば再現した威力が魔族王の攻撃力を上回らなくては意味がない。つまり雑魚がいくら増えても意味は無く、また再誕前でスキル無しで四天王と渡り合う者の攻撃を上回る魔族はそうそういないだろう。

 その考えが見当違いで、もし魔族王が瞬間的にスキルを使いこなせる才覚の持ち主であれば脅威度は跳ね上がり、弱いスキルであっても補助スキルや、ナルタルの死霊魔法のような特別な効果を持つスキルをストックされると厄介である。


 雫がそれらの考えを言わなかったのは、無駄なストックは戦闘時の瞬発力を損ない、下手をすれば魔族王を弱くする。しかしあまりに早く着いてしまえば強化が十全にされないからだ。

 雫がわんこたちに急ぎ過ぎるなと言ったのは、魔族王の強さがちょうどよくなるタイミングを図るため。そう、あの時、雫は計算をしていたのだ。


「…折角なら最高を見たいです。みんなには迷惑かけるですけど」

「ゆる そう♪」


 自身が丹精込めて造った肉体の性能が最大に発揮されるタイミングを。

 魔族の王。最強の存在であっても雫にとっては、作品の1つでしかない。

 真の黒幕は雫なのかもしれない。と横で聞いていたせーくんは思うのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 何だろう。 もう少しで完結しそうな不穏な気配が。 (『そして、異世界編へと繋がる』みたいな)
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