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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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魔族のキノコづくし

 わんこたちと『神の雫』のクランメンバーによる調査の結果、各地の有力者たちがこぞって何処かに消えてしまうという事件が多発しているようであった。しかもそれが起こったのは『人魔大戦』後とのことなので、この有力者失踪に魔族王が関係している可能性は極めて高いだろう。

 ただ崩壊した魔都や、周辺の街々での聞き込みで分かったのはこのくらいであった。失踪者は、昨日から今日にかけての間で忽然と姿を消した。そのため情報収集は難航するかに思われた。


 このままでは情報収集に失敗したと言う、悲しい報告をしなければならない。一行の空気は重苦しい。そんなとき、思いがけない場所から連絡が入る。


「いま エリ から♪ れん らく あた♪」

「わふぅ?」

「つか まえ たて♪」


 それは『ダイダロス』の地下街を代理で治めるエリンからの信者ネットワークによる連絡であった。

 地下街の真の所有者を騙る不審者が来たため、最強の鉄人兵『鉄騎』がボコボコにし、現在は『キノコづくし』で思考誘導を施している最中だとか。


「わんわん!」

「いど う♪」


 突然の朗報に驚きつつも、わんこたちは地下街に移動するのだった。



 アンフェ以外の面々にとって地下街に訪れるのは1週間と少しぶりだが、その様子はかなり変化していた。地下街は大きく分けて4つの区画が存在する。


 1つ目は、雫が製作したアイテムも売られている商業区画。ここには鉄人兵が多く配置されており、治安の悪い輩を取り締まっている。ここは多少賑わっているくらいで前と比べて変化が薄い。

 2つ目は、商業区画と他の区画を繋ぐ回廊。ここには凶悪なトラップが多く設置されている。無断で通ろうとした者を容赦なく地獄へ突き落とす。

 3つ目は毒沼さんの本拠地、闘技場。ここでは借金を背負った剣闘士たちが日々戦いに明け暮れている。その中でも人気なのが、毒沼さんをはじめとする雫が用意した猛者を相手に、勝利すれば借金帳消しというチャンスイベントである。

 そして最後が元々、キノコ栽培ゾーンが拡大した植物生い茂る管理者区画。最初はエリンのためにのこちゃんずや茸を栽培していたのだが、ドリーが度々出張してくる影響もあり、今では森かよと思うほどの有り様である。ここには一応、ゴルディーたちの部屋も用意されている。そしてその部屋に現在、不審者は収用されていた。


「エリンの姐御。アンフェの姐御たち一行がお着きになりやしたよ」

「おお、アンフェさん。お疲れ様でありんす。今日はこの不埒者にご用のようで」

「そう♪」

「でしたらしばしお待ちを。直ぐに従順なキノコにしてやりんす」


 エリンがそう気合いを入れているので暫く待つことにする一行。その間にゴルディーたちから話を聞くと、あの不審者は昔ここを直接管理していた魔族王直属の兵士では無いかとのことだ。


「魔族王の遊び場はここ以外にも幾つかあるらしいんですが、それらの存在を魔族王は覚えて無いと思うんです。ここに魔族王が来たのも数回でしたし」


 ここは特に直属兵がいなくなってからは、寄せ集めで運営していた。そのため優先度的にも低く、最後の最後に勧誘でもない命令口調で、魔族王に帰属しろと言ってきたのだろう。

 そんな話を聞いているとエリンが部屋から出てくる。


「お急ぎとのことでしたので、早熟で仕上げたでありんす」


 と言って連れてきた元直属兵は魔族よりもキノコ成分多めの存在となっていた。


「では色々と聞いて参りましょ」


 エリンに凄く従順となったキノコ魔族は、知っている事は何でも喋ってくれた。その結果、魔族王が拠点としている場所が判明した。そこは『破壊王』ソドムが治めている終わりの街『ゴモラ』。その更に先にある都市を根城としてるらしい。


「『ゴモラ』より先が? 聞いたことねーですぜ」


 魔国に詳しいゴルディーが知らなかったことを考えると、魔族王の隠れ家的な都市なのかもしれない。

 そして、もう1つ、情報を入手できた。それは雫が危惧していた通り、魔族王が現在、何らかの手段で『完全再現』の強化を行っていると言うのだ。

 直属兵も知らない何らかの手段。わんこたちは『錬金術の真理』だと確信するのだった

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