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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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感染の壁

帝国拠点前で激戦が繰り広げられている頃、四天王であるナルタルと十二守護魔、アテナ家族はと言うと。


「にしてもよくここまで近付いて見つからねーな。守護魔のなかには隠密に優れた奴が何人かいるが、全員をそのレベルにするとはやっぱりあいつは化け物だぜ」

「そうですわね。時間制限はあるらしいですけどね」


聖国拠点前に潜伏して時を待っていた。

このメンバーが敵拠点のすぐ側で見つからずにいられるのは、雫が彼らに施した性質付与が理由であった。彼女が付与した性質は『日陰者』。スキルが持つステルス性、そしてそれを彼ら同士で認識できるように影の性質も付与していた。


ただ今回性質付与に使ったのは、八咫烏戦のときに用いた『吸血姫の日光浴・影』ではなくそれを元に造られた量産型であるため、性質付与の制限時間もそれに応じて少ない。

それならば量産型の日傘を装備すればとも思うが、いつ戦闘が始まるかわからないのに、装備枠の1つを日傘で埋めるのはリスキーである。武器装備に空きがある稀有な人は使えるが、戦闘職でそういう人は少ない。その点では『付与錬成』は優秀であると言える。使い捨てであるためコスパ面が難点だが。


「それでだ。あとどのくらい待てばいいんだよ? 確かそろそろ、シズが言ってた時間だろ? もう行ってもいいんじゃねーか?」

「もう少し待つ」

「ナルタル様。シズ様は正確な時間は分からないから、ステルス効果が切れたら好きにするように仰っていました。なのでもう少しお待ちを」

「まあいいがな。シズの作戦が成功するかもう少し傍観するのも一興だしな」


ナルタルたちはもうしばらく待機することになる。帝国拠点が陥落するもうしばらくの間。




人族側で最初にその事に違和感を覚えたのは、先のわんこが放った茸による感染攻撃により感染者となった、低レベルプレーヤーの1人であった。彼らは『感染』の影響からか、装備には禍々しい色の茸が生えてきていた。また軽度であるが、ステータス低下やスキルの使用に影響がでており、他者に感染させないため拠点奥で隔離されていた。

しかし彼含め、感染者たちはせめて何かの役に立ちたいと門近くで隔離されることにした。ここならば門を守る盾になるし、『感染』と言う見えざる壁により攻め込んできた敵の足止めも行えるかもと考えたのだ。


そのため門前には感染者たちが集まっていたのだが、その中でも門のすぐ下にいた男は門から聞こえてくる筈の無い異音を聞く。


「お、おい、何かミシミシって軋む音、聞こえないか?」

「はぁ? 聞き間違いじゃないか? もしくは『感染』の影響じゃねーか?」

「そうか。そうだよな」


しかし他の者に諭されすぐに自身の勘違いと考えた。かなりの人数が門前にいるため、彼らの出す物音がそう聞こえただけだと。

そこでもう少し疑問を抱き、門を入念に調べていれば発見できただろう。自身の装備に生えている物と同じ禍々しい茸が門にも生えていることに。



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