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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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帝国拠点前戦線

シルースは自身の得物である強弓『龍鳴弓』を構える。このゲームにおいて射手は、魔法矢や梓弓などを使い魔法効果を付与した攻撃を行う事が一般的である。しかしシルースが使う『龍鳴弓』は、通常の物理攻撃としての火力を追求した代物であった。


「経験がありませんね、ここまで手応えが無いのは。と言うことですか、攻防一体」

「シルースさん。魔法も効果薄そうです」

「そうですか、やはり」


しかしそんな火力バカな得物を持っているとは思えないほど、彼女の戦い方は冷静沈着であるり、一つ一つ相手の特徴を把握していく。まるで獲物を狩るハンターのようである。


その緻密な戦闘にラスは戸惑い、攻めあぐねる。ただ本来、八咫烏は圧倒的に持久戦向きの能力である。近付くだけで体力を削り、装備を溶かす。敵の攻撃も熱の壁で防ぎそれを突破されてもエネルギーがある限り何度でも蘇る。

そのためわざわざ攻め急ぐ必要性は薄い。相手が慎重に攻めてくるのならば尚更だ。それでも我慢できない辺り、成体となってもまだまだ未熟である。一手一手、相手を追い詰めていくシルースたちと、今のところ優位な筈なのに1人、あたふたするラスの戦いは自ずと長引くのだった。



帝国防衛拠点前ではもう1つ、激戦が繰り広げられていた。『再編』の影響でフルパーティーではないアックスとベルたちが、わんこと鉄ちゃん相手に奮闘しているのだ。激戦過ぎて周りの一般プレーヤーや魔族たちが近付けないでいる。


「わんわん!」

「………」


ただ違和感がある。わんこたちからは前に戦ったときよりも、圧倒的に成長している。それははっきり言ってアックスやベルたちの成長の比では無い。しかも相手の人数は前回よりも少ないにも関わらず戦闘が続いているのだ。


「おい、アックス!」

「わかっている。こちらの攻撃が軽くいなされてる。それなのに彼方からの反撃は弱い。明らかに倒す以外の目的がありそうだ」


アックスたちもそれに気づく。そもそも雫パーティーの要2人が雫を置いてのこのこ現れただけで、何らかの狙いがありそうなものだ。


「ホーク!」

「いや、シズと他2名に動きはねー。ここ以外に目立った交戦もな!」

「なら…」

「わん!」

「く、ゆっくり考えさせてはもらえんか! だが、ここにいない面子を考えれば予想はつくさ!」


雫が動いていれば予想も付かない方法で攻めてくる可能性が高いが、そうでないなら狙いは単純であろう。

帝国へ襲撃してきたメンバーに四天王がいないことと併せて考えると、帝国へ総力を上げて攻めていると見せかけて、別の国の拠点に奇襲する。もしくは消耗した帝国拠点に第2波として本命を突入し仕留める。そのどちらかか、それに類する作戦だろうと、アックスたちは当りをつけるのだった。


その予想は、ほとんど正解していた。ほんの少し、一番重要な部分を除いて。



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― 新着の感想 ―
[一言] 第3者視点の説明とは言え、 『雫』呼びに違和感が。 (敵側はリアルの名前を知らないはずなので) 今まで雫パートでの第3者視点だからその呼び方でも違和感がなかったが、 今回敵側視点だから『…
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