大戦に向けて
雫は『破壊王』ソドムの依頼を受け強靭な肉体を用意することになった。
「肉体が用意されれば後は魂を捧げるだけか」
「そう言えばです。人魂ってどうやって用意するです? ナルタルにでも頼むです?」
「まあそれでも構わないが、おあつらえ向きの行事があるだろう。肉体が用意されれば私自らが『人魔大戦』で魂を集めるとしよう」
という事で、ソドムの大戦への参加を取り付けることができたのだった。
ソドムと別れた後、雫はホームに戻り『強靭な肉体』を造る準備を始める。そして
「わんこたちの装備も一緒に改造するですから出しとけです。…この後わんこたち何する予定です?」
「くぅん? わん!」
「………」
「そうなんです。ならそこら辺から予備のを持ってけです。アンフェとシロは予定あるです?」
「ない かも♪」
「ないねあるじ」
「ならちょっと頼みがあるです。今回のルールをぱっと見て考えた切り札を特設フィールドで試せるかやってみて欲しいです」
特設フィールド。今回『人魔大戦』が開催されるにあたって、運営側もすぐに決着がつかないように細かいルールをフィールドに課していた。それらは文章での説明がなされていたのだが、それだけでは難しい部分があるため、ルール発表があった日からそれらのルールが適用されたフィールドが解放されていた。
このルールの中でもプレーヤーが驚きつつも納得したのは、門の周囲での『転移』禁止であった。転移禁止と言っても帝国門の周囲から帝国門近くへの転移や視界の範囲で飛ぶ『ショートワープ』などは禁止ではない。召集弾など一度に大勢のプレーヤーがそこに呼ばれる類の転移が禁止されている。
例えばわんこが隠密で門前まで来て、召集弾で雫たちを呼んで、この状況がまずいことは誰でもわかることである。他にも折角奇襲が成功したのに、転移により全員で防衛などされたら泥仕合になる。それらを防ぐためのルールである。
これ以外にも門周辺では特定のスキルが制限されたり禁止されたりするモノがある。そのフィールドで雫の用意した切り札が機能するかを調べて欲しいようであった。
「りょう かい♪」
「わかった」
「じゃあ頼むです。私も頑張るです」
わんこと鉄ちゃんは大戦に向けて修行、アンフェとシロはお試しに向かい、雫はラスを焼きながら『強靭な肉体』とわんこたちの装備の改造に勤しむのだった。
そして『人魔大戦』まで残り1日に迫った頃、雫はこれまでに培った技術と、わんこたちが集めたレアな素材を駆使した肉体を完成させた。
それを受け取ったソドムは自分の目に狂いは無かったと確信するのだった。
【ユニット『破壊王ソドム』が解放されました。これにより『四天王の平定』が達成されました。分岐が確定しました。メインクエストが『魔族王狂乱』に移行されます。国別ストーリー『魔族王の復活』が大きく進行しました】
やっと人魔大戦かな?
もしかしたら1、2話閑話を挟むかもですが




