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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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再誕の術

人魔大戦まで残り3日と迫り、プレーヤーたちの準備も佳境に入っていた。問題の雫は『錬金術の真理』の練習のため装備やアイテムをかなりの量生産しているのだが、今までよりも凶悪で人を選ぶモノも多いため、煉歌たちは比較的扱いやすそうな回復系のアイテムを中心に許可を得て持っていく。雫としては練習用なので、完成品にそこまでの興味は無いのか、それを黙認するのだった。


そのようにメンバーたちが慌ただしくしている中でも、アンフェは作業中の雫の上でくるくると飛び回り、現繭のラスは昨日ラス専用に開発された焚き火セット『煉獄の焰』で焼かれていた。


「ラス せん よう♪」

「そうですね。これはセット装備ですから造るの苦労するです」


焚き火セットを造るため雫が用意したものは焚き火台と燃料を入れるためのトング、そして肝心の炎、の三点である。これらを上位層のプレーヤーしか所有していないとされるセット装備、として造った『煉獄の焰』は自動で対象物に最適の火力と適した焼き時間を実現し、対象以外への延焼や煙の不快感を防ぐ効果がある。


こんなふざけたセット装備を造れたのも、『錬金術の真理』のお陰である。特に炎を一つの装備品として錬成するなんて芸当はこれまではできなかったのだから。このように雫の技量は日に日に高まっていくのだった。



わんこたちから、もうすぐ『魔王の祭壇』に到着すると言う連絡が入った。しかし雫が幾つかの戦略兵器を造り終えてもその後の続報が無かった。少しして流石に不審に思った雫が、こちらから連絡しようとしたところ、ようやく一報が届く。

至急、こっちに来てほしいとのことであった。わんこたちにしては珍しく急な連絡に戸惑いつつも、雫とアンフェは早速向かうことにした。


『魔王の祭壇』に到着するとわんこたちの他に、魔族らしき男が1人立っていた。


「どうしたですわんこ。着いたら一度、戻ってくるって言ってたのにです」

「わんわん!」

「この人が私にです? 知らない人です」


雫はわんこの言葉で突っ立ている魔族を見る。すると男は雫をじっと見てくる。


「…だろうな。初対面だ。だが私は君たちの事を知っている。魔国中で君たちの事が噂になっていたからな」

「噂です? 覚えがねーです」

「そうか。かなり派手に動いてたようだが。まあいい。そんな事よりもだ。私は君たちに、正確に言えば君に頼みがあった」

「頼みです? そもそも私はお前が誰かすら知らんですけど」

「…それはすまないな。名乗るのが遅れた。私はソドム。『破壊王』ソドムだ。よろしく」

「どうもです」


目の前の男の正体は四天王最後の1人であり、筆頭の『破壊王』ソドムであった。


「それでです。要件はなんです?」

「…噂には聞いていたがそれ以上か。いやすまない。私の頼みたいことは1つ。魔王様の復活に力を貸して欲しい」


魔王の復活。魔国のストーリーの最終地点。早くもその単語が飛び出してきた。


「復活ですか。ナルタルとかの方が専門じゃないです?」

「…アイツの術では目的を果たせない。現在魔王様はここ『魔王の祭壇』の下で『再誕の術』を行っている」

「『再誕の術』です? それなんです?」


聞き覚えのない言葉に聞き返す雫。


「端的に言えば強く生まれ変わるための術だ。魔国に古くからある書庫の秘伝書に記されていた術式だ」

「それはそれはです」

「それを発見した魔王様はすぐに『再誕の術』を行うと言いだした。魔王様は秘伝書を頼りに見事『再誕の術』を発動した。」

「へーです。すごいですね」

「そうだな。だが『再誕の術』には続きがあった」


後に同じ書庫に『再誕の術』の詳細が記された本が見つかった。そこには「術を発動し肉体を捨て、五獣の血と魔神草を捧げ、幾千の人魂を代償に強靭な肉体に再誕するだろう」と記されていた。


「術を成功させるため私は奔走し、四天王筆頭だったガルシアがここを守る。そして魔王様に代わりディアボロスが魔国を仕切る。この事を知っているのは三人だけだ」

「あ、あの人も知ってるですか。でも何でそれを私に言うです?」

「私にも五獣の血と魔神草は用意できた。しかし強靭な肉体が用意できなかった。しかし王国には人工的に肉体を造る研究が行われていると聞く。それなのではと考えている」

「理屈はわかるですけど、わざわざどこの誰かもわからん私に頼まなくてもいいと思うです」

「…いや、君はディアボロスに認められ、ナルタルやアテナとも打ち解けている。魔国への貢献も幾つもの行っていると報告を受けた。君だからこそ頼みたいと考えている」


雫はそう言われて少し考え込む。


「何か勘違いされてる気がするですけど、まあいいです。その頼み、受けるです」

「本当か?」

「はい。もう一度聞くですけど、強靭な肉体を用意すればいいですね?」

「あ、ああそうだ。よろしく頼む」


ソドムからの返答を受け雫は、ニヤリと悪い笑みを浮かべるのだった。


【提供する肉体のレベルにより今後のストーリーが分岐します】

裏設定

魔族からの好感度が高い場合

今回のパターン


普通の場合

ソドムと戦闘し勝利後、依頼を受ける。


低い場合

ソドムと戦闘し勝利後、ソドムが大戦に参加『四天王の平定』クリア。そのプレーヤーによるストーリークリア不可へ


マイナスの場合

ソドムと会えない。そもそも『魔王の祭壇』イベが発生しない場合が高い


と分岐します。雫の場合、どんどん進んだためナルタルの依頼、アテナの特殊条件、そして地下街での魔族たちとの交流によりギリギリですね。本来雫のようにクエストのみをどんどん進めた場合、好感度が低くなり詰む設定。



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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり、魔王復活するな。 強さによって分岐か…一体どのぐらいのレベルを作るのか。
[良い点] 訳分からん位改造されまくった魔王様爆誕の予感wwww
[一言] あれ? よく見たら幾千の人魂が条件にあるから、 賢者の石の材料とかホーエンハイム的な何かじゃね。
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