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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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幻龍鐵拳

『幻鐵龍化』を発動した鉄ちゃんを見たアテナは、呆然と立ち尽くしてしまう。瞬間的に勝てないと思ってしまう。それほどまでの存在感を誇る幻鐵龍。しかも龍神となったことで、前よりも時間制限が延びており弱点も無くなっている。


「解くか。でも龍が。無理」


 アテナは『幻鐵龍化』を解除することを考える。しかしそれをしたら小鉄たちが現れるだけである。その方が厄介だと感じた。かといってこのままではアテナは殺されるだろう。彼女にはその確信があった。そして


「………ガゥァ!」

「う、ぐっ。なん…物理は効かないのに」


 その考えは当たっていた。幻鐵龍となっている鉄ちゃんの攻撃は、小鉄たちの能力を付与してある。つまり物理攻撃に魔法や属性攻撃が追加されているのだ。この攻撃は『物理攻撃無効』だけでは防げない。アテナは選択を迫られる。

 そしてアテナはそのまま迎え撃つことを選んだ。


「やる。こい」

「…!」


 その攻防は一瞬で決着がついた。

 まず鉄ちゃんが高速で接近する。そしてアテナに放った拳は赤く熱せられていた。ヒーの能力を付与した『熱拳』。食らえば鎧を溶かしてしまうだろう。そんな攻撃に晒されつつもアテナは冷静に持っている大盾で拳を反らす。大盾は少し溶けたが今は気にしている暇は無い。

 拳を反らされた鉄ちゃんは、アテナに隙を与えまいと至近距離から『鐵龍砲』を放とうと構える。だがそれより早くアテナの『行動遅延』が発動する。硬直する鉄ちゃん。


「『四重風槍』『貫通』」


 造り出した数瞬で、攻撃魔法に『貫通』を付与して放つアテナ。それはこの攻防最大のミスであった。付与魔法『行動遅延』が効いたため勘違いしたが、今の鉄ちゃんは魔法を反射する。それは防御力を無視する『貫通』が付与されていても同じである。


「な、に! 盾で」


  反射的に大盾で守ろうとするアテナ。それを見た鉄ちゃんは磁力を発生させ大盾を引き寄せる。多少の磁力で大盾を離すほどやわではないが、この咄嗟の状況では些細な邪魔が効いてくる。

 このままでは防げないと判断したアテナは、大盾を手放し回避を選択した。鎧にも磁力の効果は来ていたが意地を見せ何とか回避に成功する。しかしその代償は大きい。アテナは鉄ちゃんから目を離してしまう。

 彼女が慌てて鉄ちゃんを見たとき、もう攻撃モーションに入っていた。


「………ガァ!」

「『四重空壁』『遮断』」


 鉄ちゃんが放つは『幻龍鐵拳』。小鉄たちの能力を全て付与した打突である。その攻撃力は鉄ちゃんの技の中でも最高峰であり、反動も凄まじい一撃である。一方でアテナも咄嗟に防御魔法と付与を発動する。


 鉄ちゃんの一撃はアテナの防御を全て吹き飛ばし、その余波で張ってあった空間付与すら破ってしまった。しかしアテナは立っていた。


「ま、だだ。私は『不落王』。魔王様の一撃すら耐えた…」

「…!」


 大盾は無く鎧も砕けた。それでも尚、戦意を失ってはいなかった。


「こい。私はまだ」

「………」


  まだ戦うつもりのアテナ。それを見た鉄ちゃんは、追撃するようなことはしなかった。否、追撃はもう完了していた。


「わ、たし…まけ?」


『幻龍鐵拳』は小鉄たちの能力全部乗せである。つまり当然どっくんの毒も付与されている。これこそがこの攻撃のイヤらしいところである。ギリギリで耐え延びても毒により止めが刺されるのだ。

 こうして鉄ちゃんの最強の一撃をも耐えたアテナは最後、毒により息絶えるのであった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最後の文の「こつして鉄ちゃんの最強の一撃をも耐えたアテナは最後、毒により息絶えるのであった。」の「こつして」は「こうして」では?
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