足手まとい
雫が『地下街』を改造している頃、わんこたちはとある貴族の私兵団を引き連れ『貴族街』の攻略を進めていた。
『貴族街』の構造は迷宮都市を代表するに相応しいほど入り組んだ造りになっている。出現するモンスターの数は、パーティー内にアンフェがいないことを含めてもかなり少なく、その分一体一体が強力である。とはいえ今のわんこや鉄ちゃんからすればそこまで警戒するほどの相手ではない。この街を知り尽くしている私兵団の助けもあるため、かなり順調に攻略が進んでいた。
「お館様から手助けせよと命を受けましたが、私たち役に立てているのでしょうか?」
「確かにな。道案内に1人2人同行すれば良かったかもしれん。それにしても流石はお館様を含め、我々モントニティー家全軍を退けた実力の持ち主たちだ。『貴族街』のガーディアンたちをものともしないとは」
「馬鹿野郎! ここからどんどん『城』に近付いていくのだ。気を引き締めろ!」
『貴族街』に出現するモンスターは人型であり、尚且つ装備を整えた兵士系の敵である。そのため『城』に近付いていくほど兵士の位が上がる。ここからは私兵団だけでは対処できない領域なのだ。
そんな会話を聞き流しつつわんこたちは進んでいく。わんことしても大勢を引き連れての攻略は遠慮したかった。しかし少女の実家、モントニティー家を全滅させたのを切っ掛けにそこの当主に懐かれてしまった。何かお礼をしたいと言われ家臣たちを道案内に貸すと提案されたとき渋々ながら承諾してしまった。
「くぅん」
「まあしょうがないよ。あのひとあるじににてたし」
「…………!」
少女の言ってたとおり、彼女の父親はわんこたちに懐いてくるところや、強引に自分の主張を通してくるところなどどことなく雫と似ており、そのためわんこも断り難かったのだ。
道案内は有難いが徐々に足手まといになってくるだろう。
「あのひとたちもまぞくだし、じぶんのみはじぶんでまもるよね?」
「くぅん」
鉄ちゃんの防御もパーティーメンバーでなければ肩代わりされないため、雫のように庇うことは難しい。かと言って強くなる敵に純粋な足手まといを連れていけばわんこたちが危なくなるかもしれない。
私兵団をここに置いていくのが一番なのだが、わんこたちにそれは難しい。結局わんこたちの弱点は雫なのかもしれない。そんな悲しい事実から目を反らしわんこたちは進んでいくのだった。
異世界転生モノをかきたい!
という思いが日に日に抑えられなくなってきました。もうすぐ「戦う錬金術師です(涙目)」の300話なのでその記念に外伝作品「戦う錬金術師ですin異世界」とか書こうかな?
まあそんなの書いてる暇あるなら他の作品書けって話なんですが




