VS 十二守護魔 アンフェ&シロver.
わんこ、鉄ちゃんといったパーティーの主力と分かれたアンフェとシロは直接的な攻撃という面では他に劣る所がある。そのため弱いかと言われればそうではない。
「我ら『十二守護魔』がこのようなチビ共に負けられるか!」
「戯言を言うな! 死ねー!」
「…2人まとめて射る」
アンフェとシロは目の前で『十二守護魔』が激しい同士討ちをしてるをのただ眺めていた。2人が行ったのは『幻惑魔法』と『妖術』の複合による『幻術』である。これにより『十二守護魔』3人は自分以外の2人がアンフェとシロに見えており、思考能力も落ちているため無駄に争わせているのだ。
欠点としてダメージが入りすぎると解けてしまうのだか。
「てつにいのとこよにん。わんにいのとこはうーん」
「ラス は?」
「がんばってるよ。せいちょうしてるね」
ただ当の2人は『十二守護魔』など眼中に無く他の戦況を確認するのに夢中である。
「あ、わんにいがたおしたよ」
「シズ わこ なら な♪」
「あれ? なにかが、らすのところにむかってる」
シロの感知が何かの異常を捉える。しかし間が悪いことに丁度のタイミングで『十二守護魔』の幻術も解かれた。
「…はっ! 何でお前たちまでボロボロなんだ」
「それは私の台詞なんだが…」
「まあそれより」
「ああ、あのチビ共を片付ける方が先決だな」
3人は己の武器を構え直す。それでもアンフェたちは彼らを見もしない。
「射る」
前衛2人がアンフェたちに突撃し、その後方で狩人の魔族が弓を射る。勢い良く矢が飛んでいく。攻撃に備えていないアンフェたちには避けれるスピードではない。しかしここで1つ目の罠が作動する
「あぶな! って矢が跳ね返りやがった」
「ばかな…」
シロが仕掛けておいた『逆様』入ってきた物を入ってきた方向に返すだけの術だが、意外に役に立つことも多い。
そして味方の矢が迫ってきて動揺したか男の魔族は立ち止まり少し後退りする。そんな後ろ向きな気持ちに反応したのか2つ目の罠が作動した。
「あっ! なんだこれは! 木か? 何だってこんなところに」
突然、木が男の前に生える。これはアンフェが仕掛けた『聖なる木』。これは雫特製の茸からヒントを得た魔法である。アンフェの聖力により産み出された木は更に聖力、つまりHPを欲し、周りから奪っていく。そしてそれを術者に還元するのだ。とはいえ奪うHPは微々たる物だ。普段の彼らならば。同士討ちで削られたHPでは中々危うい。それに木は1本とは限らない。
「…こっちも」
「3本目だぞ! 何本仕込んでるんだ! というかいつの間に!」
勿論、同士討ちの最中なのだが、そのときの記憶が曖昧なため彼らの中ではずっと激しい戦闘が行われていた筈なのだ。
とは言え悲惨な状況である。しかもここまでの仕打ちをしてきたアンフェたちはまだ『十二守護魔』たちを見ようともしない。
「あ、わんにいのとこおわったね。てつにいのとこももうすこしだ」
「なら ごう りゅう ゆう せん♪」
「…ちがうみたい。わんにいがいそいでらすのとこいってる」
「そう なら いく♪」
とここで『十二守護魔』たちは嫌な予感がした。アンフェたちが自分たちを見ようともしないのは、既に戦闘は終わっているからではないかと。いつの間にかはわからないがもう勝つための罠を巡らせ終わっているのだと。
「あ、あと何個あるのよ!」
確かに直接的な戦闘力には乏しいアンフェたちだが、手札の多さは雫にも匹敵する2人が組めば『十二守護魔』など造作もないのだった。




