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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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祈り集める者

雫が孤児院で作業をしてる間わんこ、鉄ちゃんは魔国を攻略中であり、実力を高めるためシロとラスもそれに帯同している。そんな中でも雫の元を離れないアンフェなのだがここ数日、様子が違っていた。


「色々なとこから色々な物を持ってきて聖樹に挿してるですけど、あれは何をやってるです?」

「あ、あれはお供えしてるんだと思います」

「そうだね。いつもみたいに聖の力を吸ってるんじゃなくて、聖の力を祈りに変えてるんだと思うよ。具体的に何をしてるかはまだわからないけど」

「ふーんです」


折角、遊びに来ていた樹妖精のドリーと茸から逃げていた聖樹の化身せーくんに話を聞いたがよく分からなかった雫は考えるのを止めた。よく考えればたまに聖樹をくるくる回ってるアンフェだ。それの進化系だと思えば気にはならない。それに雫を筆頭に意味不明な行動など当たり前になっているのだ。考えるだけ損だろう。


「何か起こったら教えろです。作業に戻るです」


雫は過程よりも結果を重視することにし、放置を選んだ。


雫が離脱して数時間が経過した頃、せーくんが焦った様子で駆け込んできた。


「アンフェのアレを止めてくれ。今すぐに!」

「いきなり何を言ってるです。何か起こったです?」

「今まさに起きようとしてるんだよ!」


せーくんに急かされ聖樹のところまで戻ると聖樹がいつにも増して光輝いていた。聖樹の周りには子供たちが集まっておりその上をアンフェが飛んでいる。よく見れば煉歌たちやシスターのマリアなども一緒だ。


「何ですあれ」

「このままだと大変なことになるんだ」

「説明しろです」


せーくんの説明は難しくほとんどを理解できなかった雫だが、アンフェの目的が聖樹を進化させ自分も進化する事だと言うことは分かった。


「今までの聖樹は森精の街にある聖樹の分身のような感じだったんだよ。だからこの聖樹に祈ったとしてもそれらの信仰心は本体の聖樹に行ってたんだ。それをアンフェはこの聖樹に祈りを集めることで、単独の存在として確定させようとしてるんだ」


森精の街の聖樹に比べてこちらの聖樹は小さい。これはあちらの聖樹は祈られ続けた成果で進化が進んだ状態なのだと言う。それをこちらの聖樹でも行うつもりなのだ。その方法として『聖樹』に祈らせるのではなくこの聖樹単体を祈らせる事が必要なのだと言う。


「なぜそんなことするです?」

「天使の位階を上げるには自身が仕える神に信仰を捧げる必要があるかららしいよ。けど今はそんな事どうでもよくて、このままだとアノ聖樹が独立してしまうんだ」

「…したくないです? それとも何か問題があるです?」


せーくんは森精の街に嫌気が差してこっちに来た。とはいえたまに向こうの聖樹にも戻っていた。独立するということはそれが出来なくなるのかもしれない。


「それは別にどうでもいいんだよ。まあ僕がいなくなればあっちの聖樹は意思無き存在となるが、特に未練はないし、こっちでの毎日は退屈しないしね。問題なのはこのままだとアノ状態で独立してしまう点だよ!」


せーくんが聖樹の根元を指差す。そこにはいつも通りキノコたちが生えていた。というかのこちゃんずが祈りに参加させられている。


「いつも通りです。何か問題です?」

「今はまだ聖樹に茸が生えてる状態なんだ。それがアレで独立すると茸を生やした聖樹で固定化されてしまう。どうするの、あれが『聖茸樹』とかになってしまったら!」

「面白そうです」

「おもしろくないよ! ああ、どんどん祈りが集まってくる。止めてくれ。せめてキノコを取ってからやってくれ!」


聖樹に祈りがどんどん集まってくるのにせーくんの祈りは叶わない。そして聖樹の輝きが最高潮に達したとき、それが訪れた。そして光が徐々に収まってくる。そこで目にした聖樹は今までの比にならない程の存在感を放っていた。皆がそれに目を奪われている。

そのため雫を除いて気が付いていなかった。聖樹と同じくらい変化した存在がいることに。


「見た目はあんまり変化してないです。でも何かいい感じですアンフェ」

「あり がと♪」

「でも今までの進化に比べて早かったです。何か違ったです?」

「わか らん♪」

「まあいいかです。それじゃ聖樹とせーくんの確認もするです。行くですアンフェ」

「りょう かい した♪」


先ほどまで聖樹に目を奪われていた人たちもそんな会話が聞こえてきたため、皆の脳裏は1つになる。

「アンフェが喋った!」


それに驚かないのは今まで普通に意思疏通が出来てた雫とドリーだけなのだった。



『のこ聖樹』

のこちゃんずなどを正式に眷属とした唯一無二の聖樹。葉っぱよりも根元に生えてる『聖樹茸』の方が効能が良い


『聖樹の子』

聖樹の化身から進化した存在。『木の子』という妖精の一種でドリーなどより位階は上。のこちゃんずを完璧に従えられるようになった代償にプライドは失った様子。


『天使長』

自身の仕える神、もしくはその所有物に信仰を集め祈りを捧げることで天使から位階が上がり至ることができる。位階の上昇は通常の進化とは異なりどちらかと言えば成長に近い。


『アンフェ』

ようやく一般人が理解できる言語を喋った

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 次話で聖樹とせーくんの確認が有りません。
[良い点] アンフェは雫の影響受けまくりだな~
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