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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第2章 魔国編
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フレンドリー魔王

『魔印』の効果が凄いのか、雫の持っているボムを警戒してるのかは不明だが城の衛兵は雫たちの進みを妨げることは無かった。魔王と言うのでダンジョンの奥地で悠々と待ち構えている姿を想像していた煉歌たちにとって少し拍子抜けだが、簡単に魔王の前に来ることができた。


「だそうです。はっきり言って拍子抜けです。とこいつらが思ってるです。魔王なら魔王らしくしてろです」

「いや、いきなり失礼なこと。くらます!?」


いきなりの暴露に驚く面々を他所に魔王はさして驚いた様子も怒った様子も見せず微笑んでいた。


「いやーすみません。魔王らしくしてくれとはよく臣下からも言われているのだが、中々難しくてね。参考までに貴女の意見を聞かせてくれませんか?」

「私に魔王らしさが分かるわけないです。まあ王様ならもっと偉そうにすればどうです?」


魔王ディアボロスの見た目はまだ幼さを残した好青年という風貌で王としての威厳は見られない。どちらかと言えば魔王子という感じだ。

それにわんこや鉄ちゃんの反応が芳しくないことから魔族を束ねるに相応しい強さを持つとも思えない。雫はファンタジーに詳しくないので魔王とは、を語れるほどの知識は無いがこれじゃない感は漂っていた。


「まあ僕は魔国の王ではあるけど魔族の王ではないからね。僕のことを魔王と読んでくれるのはここ魔都近辺の住人と三将をはじめとする僕の臣下たちくらいだよ。そもそも…」


魔王が魔国と魔族の情勢について語りだす。国別ストーリーが今まさに始まろうとしていた。ただし


「あ、別にそういう詳しい説明はいらんです。私はただこいつらの入国許可証が欲しいだけですから。くれです」


そんなに簡単に始めさせないのが雫クオリティなのであるが。重要そうなイベントも構わずスキップしてしまう感じの。


「あ、え? 入国許可証ですか。いいですよ別に」

「え! そんな簡単に?」

「はい。入国許可証はこの国ではそこまで重要な物ではないので。どうせ入国するのに相応しくない者は生き残れませんし。だから都市内には偽造屋も蔓延ってますけど別に問題視してませんし」


流石に『魔印』の発行はできませんけど、と笑いながら部下に指示を出すディアボロス。なんとも簡単に許可が降りてしまった。これも力こそ全てのお国柄なのかもしれない。

何もしていない煉歌たちは申し訳なさそうにしている。すると魔王は、


「その代わりと言っては何ですがお願いしてもいいですか?」

「何だです?」

「さっき話そびれたことなんですが…手短に言うと魔族の勢力には僕の他にあと三人、魔族の王から領地と部下を与えられた者がいて。目下の大戦のために彼らにも力を貸して欲しいんだけど…」

「魔王ならそれくらい命令すればいいです」

「まあ一応は彼らよりも僕の方が役職的には上なんだけど、彼らって僕の言うこと聞かないから。純粋な力だと僕って弱いから」

「じゃあ私たちがそいつらのとこ行ってディアボロスに従えーって言って回ればいいです?」

「そうしてくれると助かる。お願いね?」


雫の目の前に『四天王の平定』という文字が現れた。久しぶりの文字出現に少しビクつきつつも、どうせやることもない雫はクエストを受けることにするのだった。


魔王城を後にした雫たちの会話


「魔王様なのに本当に弱いんですか?」

「そうです。多分ボム直撃で3、4発で死ぬくらいです。激弱です」

「え、だってそれ上級竜を一撃で屠る、確か掲示板にもどうすれば最硬タンクが2発耐えれるかってスレが…」

「くぅん」



『偽造屋』

入国許可証など住民には関係ないと思われがちだがそれらを持っていると箔がつくという理由でボスに挑む魔族も多く、入手するに至らなかった者たちが彼らを頼る。実は『帝国』や『聖国』にもこれに似た店があるらしい



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