死の軍勢(爆)
「うわっです。挟まれたです。…アンフェ、シロ、ラスのことは放っておいてお前たちも行くです。というかわんこは何処行ったです?」
「あっちー」
「ぁ~ぃ~」
「あんなとこにいたですか。まあそれなら邪魔しないでおくです。ていっです」
アンフェの『人気者』に引寄せられた大勢の軍の群れを掻き分けて進んでいたらある時点から突如として出現しなくなった。雫は戦闘にもこの何もない荒野にも飽き飽きしていたため、これ幸いとぐんぐん進んでいった。するといきなり今までの者たちとは一人ひとりの強さも軍としての練度も段違いの軍団が襲撃してきたのだ。
しかも見晴らしの良い荒野ではあり得ないほど接近を許してしまう。おそらく魔法か何かで気付かれ難くしていたのだろうが、それだけでも今までとはレベルが違うことが分かる。しかし
「ぉ~ぉ~」
「そうかいだ」
「やっぱりボムを使えるのは良いです」
第3のフィールドも終盤だろうと判断したわんこからの爆破許可を受けた雫の前では、屈強な魔族軍団も的が大きくなっただけである。まだ先があることも考えて名付きのボムなどは温存している雫の無差別爆破にすら対抗できずにいるところを見ると、いかに雫のボムが狂った威力かが分かるだろう。
また敵軍は本隊以外に幾つかの部隊に分かれており、本隊と各部隊とがしっかりと連携してきてくるため本来であれば手強い筈なのだが、爆破により半壊した混乱に乗じて各部隊の長をわんこが確実に倒すというだめ押しにより着実に相手の戦力は削られていく。敵も必死に応戦してくる。中々近付けないため遠距離部隊による魔法攻撃を仕掛けてくるが、いかんせん更に硬くなった鉄ちゃんの防御を個々の強さで劣る者たちが突破できる筈もない。
「どんどん…ともう弾切れです」
「でもおわり」
「ぉ~ぅ」
つまりボムなどの攻撃と鉄ちゃんという防御を有する雫たちと個々の強さよりも集団での強さが売りの軍との相性は最悪であったということである。結局、最初の奇襲以外で録に活躍することなく最終的に本隊の指揮官をわんこがサクッとしたら敵残党は跡形も無く消滅してしまった。
「あれです?いきなり消えたです」
今までに無い事態に戸惑う雫。するとまた突然魔族っぽい男が現れる。このフィールドに出現していた個々では弱いが、という感じでは無く個人としても強者のオーラを纏っている。おそらく彼こそがボスであろう。雫たちが臨戦態勢に入る。すると魔族は予想外の行動に出る。
「我こそは『戦将』アシュタロ。尋常に敗けを認める。降参だ!」
それは潔い降伏宣言であった。
活動報告で他作品の今後の予定を書いたので興味があれば…




