第1チェックポイントの村
学校では置いてきぼりをくらった雫であったがゲーム世界でもひとりぼっち、独自の道を歩んでいた。明日は休日でいつもよりもプレイ時間を多くとれるため今日はゆっくりすることになった。
「昨日の感じですと時間までに第2のチェックポイントまで行くのは難しいかもですから、とりあえず今日は村を回りつつです」
「わんわん!」
チェックポイントの村には『魔大陸』のフィールドで倒した魔族たちと同族と思われる者たちが暮らしていた。その中には亜人の村にもいそうな半人半獣の魔族もいた。ただ亜人に比べ魔族の方が獣の割合が高く中々に怖い仕上がりであった。
そんな魔族の中ではわんこや鉄ちゃんはまだしも雫やシロは特に弱そうである。それでも絡まれたりしないのはしっかりと入国審査の役割は果たされているのだろう。
「それはそうだろう。ベルゼ様から通達があったからな。私たちは強い者には敬意を払っている。ベルゼ様が本気で無かったとしても魔族の中であの審査を突破できる者は一握りだからな」
「そうなんです?まあ確かに厄介だったです。それでこの『魔神草』ってなんです?」
「『魔神草』か?それはここらの魔素が充満した場所で育つ薬草だよ。別に大して珍しくもないがな?買うかい?」
「はいです。あとそれとそれも一緒にくれです」
「はいよ」
見たこと無い薬草やらが並んでいた。珍しかったので取り敢えずそれらを数束買い、一束ずつを残しあとは『キノコ栽培キット』にぶちこんでおいた。これまでの経験上『魔神草』などにキノコの種菌が寄生することだろう。それら由来のキノコが生えるまでに各薬草の特性でもまとめておこうと雫は楽しみになった。
取り敢えず村にある店は数店だったためすぐに見終わってしまった。やはりここはチェックポイントであって長居させるために設計されていないのだろう。やることがなくなってしまってはしょうがない。今日は村でゆっくりするつもりであったが明日の攻略のために情報収集をするため、少しだけフィールドに出ることにした。
「私はここで手に入った素材を色々調べたいですからまあ適当にやってくれです」
「わんわん!」
雫たちは暇潰し感覚で『魔大陸』の第2のフィールドに足を踏み入れるのだった。




