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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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黒騎士始動

トップを突き進んでいた雫達だったのだが、イベント中にも関わらず噂が伝染していき、雫達から逃げるようになった。わんこだけなら逃げるプレイヤーを追うこともできるのだが、雫と鉄ちゃんがついていけない。わんこ一人で複数名のプレイヤーと戦ってもしものことがあると危ないので、プレイヤーが近くを通るまで待つことにした雫。しかし待つのに飽きた雫は現在


「わんこ、鉄ちゃん冷たいですよ。水をかけるのはやめるです。」

湖で遊んでいた。

「ゲーム内で初めて湖を見たです。噴水は見たですけど、やっぱり水は冷たく感じるです。」

ふざけているように見えるのだがこれが意外と功をそうしたのか、今ならいけると思ったプレイヤーが奇襲を仕掛けてくるので普通に待つよりも敵との遭遇率が高かった。しかしさすがにトップからは、落ちてしまっていた。


そうこうしている間に残り時間が2時間を切った。そしてそのときアナウンスが鳴り響く。

「イベント終了まで残り2時間を切りました。そのため、フィールドにイベント用ボスモンスターを出現させます。倒されないように注意してください。」


動き出したモンスター。これに遭遇したプレイヤーは全て葬り去られた。逃げる者もいたがそいつは機動力はそこそこだが、なにぶんでかいため、逃げ切れるプレイヤーがいない。

「やめろ、やめてくれ。コインがここまで貯めたコインが。」

プレイヤーが叫ぶがモンスターは止まらない。

「我が名は黒騎士、全てを切り裂く者なり。」

このモンスター、黒騎士は全身黒の鎧に黒い剣を携えたモンスターである。魔法などの遠距離攻撃を一切持たないのだが、リーチがあり鎧で防御も厚いためプレイヤー達はどんどん切り刻まれていく。

「ちくしょう、このまま好きなようにやられてたまるか。いくぜ『火槍』」

最後に残った魔法使いのプレイヤーが火魔法の『火槍』で火の槍を作り出し放つ。すると黒騎士は、それを剣で切り裂く。

「嘘だろ、魔法を剣で斬りやがった。」

そのまま接近してきた黒騎士に斬られる魔法使い。

「我が名は黒騎士。全てを切り裂く者なり。」


黒騎士が出現したエリア付近にいたプレイヤーがほとんどやられてしまい、上位が狙えるだけのコインを持ったプレイヤー達はここで倒されてはかなわないと、そのエリアから逃げ出す。しかし運悪く黒騎士と遭遇したプレイヤーはコインを黒騎士に奪われる。そんなことが繰り返され、黒騎士の付近にはほとんどプレイヤーがいなくなった。しかしコインを奪われ、もう普通にやっても入賞が難しいプレイヤーだけが黒騎士付近にいるという状況になった。


黒騎士が投入されて1時間以上たった。もうイベントの残り時間が少なく。コインを多く持っているプレイヤーは、他のプレイヤーに遭遇しないように隠れ始める。そんななか雫はというと。

「なんかさっきからプレイヤーが全然来ないです。やっぱりここもそろそろ移動するです。」

残り時間が2時間を切った辺りからプレイヤーとの遭遇率が著しく下がり、完全に取り残されていた。

「わんこ、鉄ちゃん、そろそろ」

いくですと言おうとしたとき物陰から黒い塊が飛び出してきた。

「黒い…鎧?」

雫達を見つけた黒い鎧、あらためて黒騎士が剣を構えて言う。

「我が名は黒騎士。全てを切り裂く者なり。」

すると突然鉄ちゃんが特攻を仕掛ける。エリアボスにも劣らない攻撃力を誇る鉄ちゃんの突撃を、黒騎士は、剣によって止める。

「鉄ちゃんが止められたです。わんこ、」

「わんわん」

続けて影の剣が黒騎士を襲うのだが

「カキン」

鎧によって弾かれる。黒騎士が鉄ちゃんを押し返し、そのままこっちに突進してくる。

「やばいです。『障壁』」

雫はリクからもらった指環で障壁を展開した。黒騎士は障壁にぶつかるがそのまま突進を続ける。障壁がひび割れ始めいつ割れてもおかしくない状態である。

「わんこ、鉄ちゃん。私が爆弾をあいつに投げたらすぐに逃げるです。いくですよ。」

雫は何個かの爆弾を黒騎士に向かって投げる。

「ドッカーン」

障壁もろとも爆発で煙が立ち込める。

「今ですいくですよ。」

雫は後方に逃げる。しかし雫の足では普通は逃げ切ることはできない。普通だったら。


雫の体感ではかなりの距離を走った。後ろを振り返ると誰も来ていない。

「あれ?わんこと鉄ちゃんはどこいったです。おかしいです。」

イベント終了まで30分もない。雫の周りには雫の爆発に耐えられるようなプレイヤーはいない。このまま行けば雫はトップではないがいい順位でイベントを終わることができるだろう。このままいけば。


一方湖では死闘が続いていた。鉄ちゃんとわんこ。二人の攻撃力でも黒騎士にダメージを加えるのは難しい。

「わんわん、わぉーん」

「…………」

いつもよりも気合いを入れて戦う二匹。全ては雫のために、雫がこの化け物から逃げ切れるために、二匹は残った。

「我が名は黒騎士。全てを切り裂く者なり。」

二匹の気合いに応じたのか黒騎士も決め台詞を吐く。わんこと鉄ちゃんに勝ち目は薄い。雫の爆弾でダメージを与えた。他のプレイヤーもそれなりに攻撃を繰り返した。しかし倒れない黒騎士。絶対の強者相手。しかしすぐに負けることは主人の、雫の死を意味する。イベントの残り時間が少なくなってきている。もうすぐイベントが終わる。イベントのクライマックスは主人公不在で幕を開けた。







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