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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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太陽の性質

雫が使用したボムの名前は『永久凍土』。その名前の通り爆発によって周囲のフィールドやモンスターなどを永遠の氷で閉じ込めるアイテムである。今回は空中で使用したため対象が八咫烏と蒸発せずに残った少量の水のみだが、おそらく地面に向かって放ればフィールドごと凍りつくだろう。そんな威力を秘めた『永久凍土』を食らったのだ、八咫烏ほどのモンスターと言えども通常ならば無事では済まない筈であった。しかし氷像と化した八咫烏はそれでも尚太陽のごとく宙に浮かんでいた。


「わんわん!」

「…わかってるですわんこ。凍らせはしたですけど多分表面だけです。芯まで凍結させることはできてねーです。理由はわかんないですけどわんこがそう思うならそうかもなです」


雫としては理解できないが雫特製のアイテムの直撃を受けても完全に倒しきれない。これはモンスターとしての強さと言うよりも、八咫烏特有の性質である太陽の性質が関係しているのだろうとわんこは言う。熱や光など際限なく造り出されるエネルギーこそが太陽の性質である。

この性質は不死鳥が持つ性質に類似している。不死鳥の対策としては色々とあるが一般的なモノで言うと、不死鳥はダメージを負っても自身の体を燃やして再生させる。しかし何度も繰り返すと最後には自身を燃やす火を出せなくなり倒すことができるようになるのだ。

これは八咫烏にも適用するだろう。おそらくわんこの攻撃や『蒼海』『永久凍土』の攻撃は、八咫烏にダメージを負わせていない様に見えるが、八咫烏の保有するエネルギーを減らすことに成功している。これを続けることができれば八咫烏を倒すことも可能だろう。しかし不死鳥と八咫烏では規模が違いすぎる。八咫烏のエネルギーが尽きる前に雫のアイテムや、わんこたちの体力が無くなることだろう。


「でもなんか氷の解凍に手間取ってるですからこの間に対策を考えないとです」


いくら八咫烏でも一度に放出できる熱量には限りがある。『蒼海』の対処に熱を使い切った状態で凍らされてしまったため、自身を取り巻く氷を溶かせずにいるのだろう。普通のモンスターであれば氷で身動き取れない今こそ攻撃の絶好のチャンスなのだが、八咫烏に限って言えばそれは氷を取り除く手助けにしかならないのであった。そのため鉄ちゃんはクーを召喚し、八咫烏の回りで『求熱』によって氷が溶けるのを防ぎ、シロはフィールドに雪を降らせつつ、こちらも氷を砕かぬよう慎重に雪魔法を放っている。


「でもこれじゃあ根本的な対策になってないです。『蒼海』とか『永久凍土』みたいに八咫烏の熱を奪うのはいいですけど、倒しきるまではいかんです」


2ボムのコンボも次からは対処してくるだろう。そうなれば圧倒的熱量で押しきられるのは目に見えている。その前に何らかの作戦を立てなくてはいけないのだが、雫には思い付かない。そんな時、わんこが意を決した様子で吠えた。


「わん、わわん!」

「…本気なんですね。わかったです。何とかしてみるです」


雫が納得したのを確認したわんこは影となり雫と融合し出す。わんこモードの発動であった。わんこが思い付いた作戦には時間が掛かり、その間わんこが無防備となるためその対策であった。しかしわんこが別のことに掛かりっきりになるということは、わんこモードの特徴である『闇夜魔法』が使えないことを意味するので、わんこモードの恩恵は然程無い。ただし


「鉄ちゃん。そろそろです。クーを戻せです」

「………!」


敵味方関係無く発動していた『日陰者』をわんこモードになったことで、コントロール出来るようになったことはこの状況下では意外に大きな意味を持つ。

そしてわんこモードを待っていたかのように氷像から蒸気が見えだす。第2ラウンドの開幕であった。







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