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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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邂逅

雫たちが向かっている場所は、第10の街からほど近くに存在する陽神を祀っている祠『太陽の祠』であった。何故かと言えばその場所を守護しているとされている者こそ今回の騒動の原因である八咫烏であるためであった。


「まあ伝承レベルの話ですし、本当かどうか半信半疑でしたですけどいそうです。その証拠にさっきから暑さが異常です」

「あつい」

「…くぅん」


その場所に近付くにつれ気温がどんどん上昇しているのを感じる。特に素が貧弱な雫や毛皮を被ったわんこ。そして雪山出身であるシロは暑さに弱く見るからに元気がなくなってきていた。


「シロ、わんこも『日焼け止め』飲むです?うーん、それともなんか冷たくなる物でも…クーでも呼ぶです?」

「………」

「えーです。別に怒られやしないです」


八咫烏対策である貴重な『日焼け止め』を使うのは憚られたのか、わんこたちの反応は芳しく無かったため、代替案として小鉄の一匹であるクーの召喚を提案する雫であったが、召喚主である鉄ちゃんが拒否したのだった。これから未知の敵と戦うのに、手札を無駄に消費する趣味は鉄ちゃんには無かったようであった。


「まあおとなしく『クールポーション』でも飲んでおくです。ほらわんことシロも飲んどけです」


クールポーション、またの名を清涼飲料水。効果は飲むと涼しくなることと、喉が潤うという2つのみであるが、雫が材料の選別から拘ったお陰でそこら辺の売店で売っているドリンクよりも上等な味に仕上がっている一品であった。


「ふむふむ、我ながら満足な仕上がりです」

「わんわん!」

「おいしい」


そんな風に最早、遠足のような道中であったが、すぐに気温が看過できない温度になる。クールポーションが気化しだしたのだ。ここまでの温度になるとただ暑がりなわんこやシロは兎も角、雫にはダメージが入る。一応、鉄ちゃんの『霊亀の首飾り』の効果範囲内のため、ダメージは鉄ちゃんに加算されるため雫的には大丈夫なのだが、雫は頃合いだと思い『日傘』と『日焼け止め』を取り出す。


「日傘状態ですと色々と不都合があるです。しょうがないですからタイミングをみてわんこモードに切り替えるですから、わんこたちも頼むです」


そう言って日傘を差した雫は静かに消えていった。これこそがこの日傘『吸血姫の日光浴・影』に付与されたスキル『日陰者』によるものであった。このスキルの主な効果は2つ。1つは敵、味方問わずのステルス機能。そして『闇夜魔法』の補正であった。単純に言えばこの傘を差している限り単体攻撃で雫を対象とする事は出来ないと言うことである。これによってこのパーティー最大の弱点である雫への集中砲火をある程度防げるようになった。しかし一方で別に攻撃が当たらなくなった訳ではないため、範囲攻撃は相変わらず弱点のままである。と言うよりも鉄ちゃんにも認識できないため傘を差している限りでは、範囲攻撃は尚更弱点となってしまっている。ただしこのスキルの大元である『闇夜魔法』の使い手であるわんこには、認識阻害も効果がないので、今回わんこの仕事が通常に加えて鉄ちゃんたちとの仲介役も担わなくてはならないのであった。

スキルを発動して雫が影になって間もなく、目的の地点に到達した。そこは本来、祠以外何もない場所だと聞いていたが、そこには祠以外にも街で見慣れたものが溢れていた。


「もえてる」


街中と同様に祠の周辺も火の海となってしまってたのだ。しかも街の火とは異なりダメージ判定が存在し、この中に雫を放り込んだら即死するレベルである。

そんな光景に呆気にとられていると、祠の影から1羽の鳥が現れる。いきなりの登場に誰も対処できずにいると、その鳥が一鳴きする。


「ピェェーーーー」


そしてそれと共に放つ灼熱の焔がわんこたちに降り注ぐ。そのダメージ全てを背負った鉄ちゃんは、呆気なく熔けていった。






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