表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
235/398

太陽対策

陽神の教会で最高司祭であるロドンに確認を取ったところ、今回の騒動の原因はクエストの名前にもあった通り、八咫烏であることが判明した。雫にはそれがどういう類いのモンスターかはわからないが、わんこと同等以上たと考えると残念ながら先ほどの神官騎士や、ロドンを守っている騎士たちでは荷が重いだろう。そしてそれはロドンも同意見のようだった。


「儂らの信仰する神の御使いへの攻撃を躊躇うことを考慮したとしても、教会の保有戦力で八咫烏様を打倒することはかないませぬ」

「あんなに大勢いたのにですか?」

「ほほ、意地悪を言わないでいただきたい。街の被害を見れば明らかでしょう。八咫烏様の前では数など意味をなしますまい。全員丸焦げになってしまいですよ」

「まあそれもそうです」


その会話は苦々しい表情で聞いている護衛の騎士たちを尻目に、雫は肯定する。流石に最高司祭の前で表立って反論する者はいないがそれでも騎士たちの雫を見る目は険しいモノになる。


「ですが貴女方であればそれも不可能ではない、と儂は考えております」

「…さあです?私はその八咫烏とやらを知らんですからなんとも言えんです。まあでもなんとかなるかもです」


そして雫が自身が信仰する神の御使いを軽んじるような発言をされ、護衛の中で最年少の青年は我慢の限界に達してしまう。


「貴様らごとき、八咫烏様に触れることすら叶わず燃やし尽くされてしまうに決まっている!分をわきまえろ!」

「分をわきまえるのはお前だガーリ!貴様の発言はロドン様の御言葉をも否定している。何よりロドン様の会話を遮るとは何事だ!

すいませんロドン様。しかしガーリの考えも我々には理解できます。この少女たちに八咫烏様を打倒できる力があるとは…」


護衛のリーダーが青年騎士ガーリを窘めるも、同意見のようで遠慮ぎみに自己主張してくる。それを受けたロドンはただ笑みを浮かべるだけで反論をするわけでもない。


「ロドン様?」

「他の全員も同じ意見なのですか?」


漸く発した言葉に護衛たちは驚きつつも頷く。するとロドンは護衛たちからわんこの方に向き直る。


「…陰神の御使い様。彼らに真の強者を体験させてはもらえませぬか?」

「わんわん!」

「ロドン様、何を?」

「ほほ、何事も経験じゃよ。よろしいですな?」

「…別にいいんじゃないですか?」


と雫が許可を出した瞬間、わんこが影の中に消えていく。そしてその数瞬後、ロドンの護衛たちも全員残らず影に呑まれてしまった。


護衛たちとわんこがその場から消えた後もロドンとの会話は続いていた。


「御使い様を含めて貴女の周りの者たちは儂らの常識の外の力を有しております。ただ八咫烏様はいるだけで生者を焼き殺すほどの熱量を放つ、太陽の化身であると言い伝えられています。言うならば太陽そのものと相対するとお考えください」


太陽を相手取る。言葉にするだけで途方もない話である。色々なアイテムを造ってきた雫だが果して太陽に通じるアイテムがあるかは疑問であった。得意のボムも残念ながら災害レベルではあるが、太陽に匹敵するほどの物は造り出せていない。それに何よりいるだけで焼き殺されてしまうほどの熱量を雫だけでなく、わんこたちですら耐えられる保障はどこにもない。

それを聞いた鉄ちゃんたちも不安になってきていた。しかしそれを聞いた雫は不敵な笑みを浮かべる。


「そういえば前に聞いた気がするです。太陽。八咫烏とやらがそうでしたか。ならちょうどいいです。前々から太陽対策はしてあったです」


雫は序盤の方で何度か耳にした陽神関連の話を適当に聞き流していたのでほとんどうろ覚えではあったが、太陽というワードは頭の片隅に残っており、暇なときなどに太陽と対峙したときに備えて専用アイテムの製作を進めていた。そしてこの頃また陽神について聞くことが多かったので、この街に来る前に密かに完成させていたのであった。


「太陽対策ですと?そんな物が存在するのですか?」

「ふふんです。造っていたです。その名も『日傘』そして一応皆のために『日焼け止め』も用意してあるです」

「………?」


雫が自信満々にアイテム名を告げるが、鉄ちゃんたちには聞き覚えがなく、あまり強そうな名前ではなかったため、その場は変な空気になってしまうのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ