似た者同士
このイベント用のフィールドには、蘇生ポイントというものが4つ存在している。その為倒された相手とすぐにまた対戦何てことも希に存在する。ただし倒されたところから近いポイントで蘇生ではなく完全にランダムなため、集団を作っていたプレイヤーはまた最初から集まり直しなため、倒されてすぐにまたとはなかなか難しいのである。
だんだんプレイヤーの集団が形成され始めてきた、こうなってしまえば、トッププレイヤーでも迂闊に手を出せば返り討ちに会う人数である。それでもゲーム内でも名の知れたプレイヤー達はそれらの集団に果敢に勝負をいどんでいった。雫達のほかに集団プレイヤー狩りを行っているプレイヤーは限られてくる。上位争いはそれらのプレイヤーにかぎられてくるだろう。
イベントの状況がどんどん変化するなか雫はというと。
「わんこ速いです、速すぎて鉄ちゃんがついてきてないです。」
「くぅん」
わんこに乗っていた。今まで雫の移動スピードが遅いことを地味に気にしていた雫は、わんこがおっきくなったときからこれを考えていたのだ。残念ながら雫パーティーは良くも悪くもマイペースな集団のためわんこが雫を乗せて颯爽と駆けていくのをぼーと見守っていった者もいるのだ。
「というか鉄ちゃんどこです。鉄ちゃんが私から離れたことないからどうなってるかわからんです。」
いつもと違うフィールドに若干テンションが高い雫がそんなことをいってるそばから、4名のプレイヤーが現れる。
「さっきから多いです。いくですよわんこ」
「わんわん」
黒い剣が4人を襲うが、4人の内の盾使いが影から他の3人を守る、守りきれずに何名かにダメージが入るが致命傷には至らない。元々影魔法は防御力が少ない後衛職なら一撃で倒せても、前衛職を倒すには攻撃力が足りない。不意でも打たない限り、倒しきれないのだ。
「危ないな。事前情報がなかったら全滅だったかもしれんは。」
この者達は雫の集団戦を何度か見ていた。その為黒い剣が来ることも事前に知っていたのだ。
「あのドラゴンがいないのは、ラッキーだぜ、いくぜおまえたち。」
そう言って雫達に攻撃しようとしたところで異変に気が付く、足が動かないのだ。
「なんだ、どうなってんだ。何しやがった。」
足を見ると足に影が刺さっていた。
「何だこれ。」
「たしか影魔法の影縫いとかいう技だったはずです。安心するです。ダメージはないってセンさんが言ってたです。」
4人はそろって思った。そういう問題じゃないと。
「それじゃさよならです。」
雫が爆弾を投げる。
「ちくしょう、挑む相手を間違えた。」
男の最後の言葉であった。
鉄ちゃんが現れたのは4人との戦闘が終わってからであった。
「鉄ちゃん、遅いですよ。ていうかわんこも速すぎです。もう二人もマイペースすぎです。」
自虐なのだろうか。自分のことは、自分ではわからないものである。




