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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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成長するシロ

玉藻に一番相性が良いのはおそらくわんこである。玉藻の間合いに易々と入り込め、休むことなく攻撃を放ち続けられるわんこを主軸に戦えばおそらく倒せるだろう。そうでなくとも雫のボムによるごり押し戦法でも押し切れるかもしれない。しかし折角のシロの上位互換との戦闘であるので、シロに任せてみようと考えた雫なのである。


「わたくしも舐められたものです。『地縛陣』」

「コーンコン!」


しかしそう上手くはいかない。シロも種族などから才能は認められているが、玉藻はシロを越える才能に加え、経験も重なっている。わんこたちのサポートがあるとは言え、生半可なことでは越えられない。


「ふふ、防ぐので精一杯のご様子。それならどんどんいかせていただきます。『武雷貫』『霊魂砲』『鬼焔』」

「わんこ、鉄ちゃん、フォローです。アンフェは結界張れです。」

「ぉ~!」

「まだまだ『霊竜咆哮』『死霊呪詛』」

「鉄ちゃん。『鉄龍砲』です。」

「……!」


雫たちは相手からの攻撃を防ぐことに徹して、こちらの攻撃は全てシロに任せていた。しかし元々、攻撃手段の乏しいシロは玉藻の防御を突破出来ずにいた。


「コーン!」

「雪?白狐の面目躍如ってところですか?でもまだまだ浅いですわね。雪の中に妖力を混ぜ混んでるのがバレバレですわ。『式封陣・防寒』」

「コン?」

「どんな効果の雪であっても、防寒は雪ごと弾く。わたくしに攻撃を届かせたくばもっと考えなさい。」


シロの攻撃を多彩な防御術でことごとく防いでしまう。本来なら覆りようのない力量差である。即座に決着がつく程に。しかし今はわんこたちのサポートにより何とか戦えていた。今までシロは積極的に攻撃に参加しなくとも良かった。それは『妖術』や『仙術』を覚えて強くなってからも同じである。わんこや鉄ちゃん、そして雫のボム攻撃で倒しきれたからである。しかしそのためシロの攻撃的な発想は育っていなかった。

しかし今まさに、シロと同様の手札を用いて自分たちと対等に渡り合っている玉藻を間近で見ることにより、どんどん新しい発想が生まれてくる。どんどんシロは成長していくのであった。


「コーン!」

「くっ、『鬼封陣』『雷光・滅』」


先ほどまでの玉藻ならばシロの『妖氷真槍』など余裕を持って防いでいた。しかし今は追撃を警戒して攻撃してくるようになっていた。


「コーン!」

「なっ、それは鬼封陣。数回わたくしの術を見ただけで。そうですか。やはり『妖怪七人衆』を五人倒しただけはあります。全力でお相手させていただきます。『絶佳霊峰』」


フィールドが神秘的な場所に換わる。すると玉藻の潜在的な力が跳ね上がるのを感じた。それと同時にシロの力も高まっていく。おそらくこの場所には『妖術』や『仙術』などを強化する力が込められているのだろう。


「この世界では幼狐、あなたが一番脅威となってしまいます。まずはあなたから倒させていただきます。」


戦闘は更に激しさを増す。わんこたちも必死にサポートをするが一気に強さを上げた玉藻に防戦一方である。仕方ないので雫が作戦を発案する。


「わんこ、アンフェ。タイミング良く頼むです。鉄ちゃんはガードに専念。シロ、決めろです。」

「わんわん!」

「ぉ~ぅ!」

「……!」

「コン!」


何かを狙っていることに感づいた玉藻は、おそらくその中核を担うであろうシロに集中する。


「この世界では何をしても無意味ですわ。『武剛雷貫』」

「…コーン!」


一瞬の隙をつき玉藻の放った雷に撃ち抜かれるシロ。しかしその瞬間、撃ち抜かれた筈のシロが書き消える。


「なっ、分霊、いや分身ね。わたくしの『仙術』下で?いやそういうことでしたか。」


自身の仙術下で分身と見破れなかったことに驚く玉藻だが、すぐにからくりに気づく。分身と本体の場所を瞬時に入れ替えたのだ。


「舐められたものです。『霊竜咆哮・死』」


シロ本体の場所を即座に把握した玉藻は、即死付与の妖術を放った。玉藻に二度同じ手は通用しない。シロは避けることが出来なかった。


「な、に?防いだだと?即死の攻撃ですよ。」

「ふふ、『身代り盾』です。」


アンフェの『身代り盾』は死に直結した攻撃を一度だけ防ぐ。


「コーン!」

「まずいですわ。『封陣』」


シロを仕留めることに集中してしまった結果、一瞬、防御のタイミングが遅れる。しかし『封陣』でもシロの攻撃は何とか防げる算段であった。しかし


「なっ!『闘妖の護符』ですか。」

「コーン!」


シロは妖術の威力を一度だけ極大まで高める『闘妖の護符』を身に付けていた。これは『妖術』を習った雫が妖力で作ってみた試作品1号であった。護符で強化されたシロの『六花狂乱』は『封陣』を突き破り、玉藻の周りで氷華が咲き誇る。


「負けましたか。お見事です。」

「コーン!」


氷華に埋もれた玉藻が散っていく。それを見届けたシロは光輝きだすのであった。




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