妖術の勉強
天邪鬼は、基本的に強者殺しのスキル構成なので、雫が相手であったので殆ど何も出来ずに敗れたが、本来なら瞳のように初見ならば何もできずにやられる筈なのだ。しかも天邪鬼は雫の錬成アイテムによってさらに弱くなっている。瞳の最弱の攻撃ですら、即死するレベルのため『捻くれ者』によって無敵状態になってしまっているのだった。
「やっぱり主が何かしたんでしょう。いやいいですけど。これ、『妖術』習得して、妖怪のこと学んだところで何とかなるんでしょうか?」
今の時点で瞳の攻撃はオーバーキル状態なのに、更に強くなってしまったら、更に倒せなくなってしまうのではと考える瞳。しかし雫は、
「わかんないですけど、天邪鬼を倒すだけなら簡単じゃ無いですか?スキルの効果を無視して固定ダメージを与えるアイテムとか、私が使ったように最下級の攻撃用アイテムを使えばいいんです。」
「そういえばそうですね。」
基本的にそんな物を持ち歩いているプレイヤーは、ここら辺まで現時点でこれるレベルではいないのでやはり初見ではどうしようも無いが、スキルの一点頼りのため、対策は取りやすいのだ。
「まあそういうこった。俺は弱さに誇りを持ってるが、弱さは強さと違って万能じゃねーからな。まあしょうがねーよ。」
天邪鬼もその事は承知の上であった。その上で天邪鬼には弱さしか無いので、それを磨くのである。
「まあ妖怪を、特にそれらのトップ集団たる『妖怪七人衆』を相手にするなら『妖術』を習うのは大切だ。覚えられなかったとしても、妖術は妖怪の基礎だからな。」
と言うことで雫と瞳は妖術を習うことにしたのであった。天邪鬼は戦闘ては殆ど使用しなかったが、多彩な妖術を使用でき、戦闘スタイルも使う妖術に応じて適切に変化してきた。また、自身も才能が無かったためか、教え方も上手であり、数時間で瞳は『妖術』を多少使えるようになっていた。雫も一応、『妖術』のスキル自体は獲得したのだが、残念ながらMPの関係で術を使えるレベルには達せなかった。しかし錬成に応用出来る可能性があるので満足していた。
またこの間、種族的な関係で残念ながら『妖術』の適性の無いアンフェは退屈そうにしているのだった。
「これ以上はお前は無理だな。最弱になった俺よりMPがねぇーってほんとにどうなってんだか。まあアイの方は、まだまだ教えられることがあるからまた来い。」
「わかったです。」
「はい!」
一応、今日は終了と言うことで帰ろうと思った頃に、ちょうどいいタイミングでわんこと鉄ちゃんが帰ってくる。
「わんわん!」
「…………」
二人の手には『妖怪七人衆』を倒した場合に貰える札が三枚握られていた。




