札集め
『エナジードレイン』と『幼化ポーション』を飲み干した天邪鬼の体はどんどんと萎んでいった。元々、対して大きくなかった天邪鬼の体だが、今では女子の平均以下の身長を誇る雫よりも小さく成ってしまった。
「やべーな。まさかこれ程とは思わなかったぜ。力が失われていく感覚が気持ちいいぜ。」
「へー。まあその感覚はよくわからんですけど上手く弱体化出来たですね。」
「おう。ああ、ありがとよ。…そういえばこれとは関係ないんだが、俺たち『妖怪七人衆』を倒した奴にはこれを渡す決まりなんだ。貰ってくれ。」
と言い天邪鬼は雫に紋章が入った札を渡してきた。天邪鬼の説明ではこの札を『妖怪七人衆』全員分集めるとこの『妖魔街』のトップに会えると言うシステムらしい。
「まあ俺が言うのも何だけど、他の奴らは俺みたいな捻くれ者じゃない、本物の強者だからな。札集めは苦労すると思うぜ。まあ集めなくてもいいがな。」
「うーん。あんまり興味は無いです。私はですけど。わんこと鉄ちゃんはどうです?」
「わんわん!」
「……………」
雫としてはこの街にはちょっと遊びに来ている感覚なのでそこまでガッツリ戦闘をするつもりは無い。天邪鬼とは戦闘したがそれもイレギュラーな事態であり、それをメインにするつもりは無い。しかしこの街に来るまでの道中、『妖魔の脇道』からあまり戦闘に参加できなかったわんこと鉄ちゃんは、それなりに鬱憤が溜まっているようであった。
面白そうなシステムで有るし、会えるのなら会いに行っても良いが、七人衆と言うことは、あと六人もいるということである。そのため流石に一人一人回っていくのは面倒くさい。ここはわんこと鉄ちゃんに手分けして集めてきて貰おうと言う作戦である。
「じゃあお願いね。私はここで『妖術』を習いながら色々作ってるです。」
「わん!」
「………」
こうして雫たちも別行動をすることになった。
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雫が弱くなった天邪鬼から『妖術』の基礎を教わっていると、新たな来客が現れる。
「あれ?主。どうしてここに?」
「アイです。さっきぶりです。ここはシロが『妖術』を習得した時に世話になったらしくてその関係でです。そっちは何です?」
「さっき『妖怪七人衆』の一人の所に行ったんですが、ちょっと強すぎたんで妖怪の事を知るために。」
お互いの事情を話していると、瞳が天邪鬼が気になるようで、チラチラと視線を向けていた。
「あの主。そこの妖怪は?」
「うん?アレはえーと妖怪七人衆とか言うのの一人です。」
「えっ、そうなんですか。それにしては」
「折角なら戦ってみるといいです。ね、天邪鬼?」
「あん?まあそうだな。新たな弱さを手に入れた俺が相手になってやるぜ。吸血鬼さんよぉ。」
『酒呑童子』に比べてあまりにも弱々しい姿に違和感を覚えた瞳は、雫によって最弱化が進んだ天邪鬼と戦闘をすることとなった。
結果は語るまでも無いが、天邪鬼は強者に対して滅法強い。二種のポーションによって、それは更に磨きがかかっている。このゲームを始めた時からソロとして頑張ってきて、強者の仲間入りを果たした瞳が敵う相手ではないのだ。




