二つのポーション
『エナジードレイン』と『幼化ポーション』が作られたのは雫が、竜宮城からお土産として玉手箱などを貰ってきた日から少し経った頃であった。本来ならば直ぐにでも玉手箱の煙を使った新しいアイテムの錬成に取り掛かりたいところであったのだが、これらのレアアイテムは数が少なく無闇矢鱈に使うわけにはいかなかったので大量生産の目処が立つまで多少の研究以外ではお預けをくらっていた。
そんな玉手箱量産計画も雫が持つアイテムの中でも一位二位の万能さを持つ『キノコ栽培キット』によって解決した。その時雫は茸の偉大さを再確認した。
「やっぱり茸は偉大です。」
最初雫は茸に玉手箱の『呪煙』を呪いの成分を分離して吸わせて栽培していた。すると呪いを除いた物の効果はただ成長を促進する作用があった。それはそれで面白い効果であり、その後役に立つのだが、その時雫が目を着けたのは抽出した呪いの方であった。調べてみると玉手箱の『呪煙』の呪いは複数の呪いを掛け合わせて作られており、その中で雫が興味を持った呪いは弱体化と形態変化であった。
弱体化とはステータスを低下させ呪いのことであった。ただしただステータスを下げるだけでなく、レベルも低下させることでさらにステータスを低下させていることがわかった。
形態変化は『呪煙』の老化現象を司る物であり、ステータス上に現れない肉体の動きにくさなどを促進する効果を持っていた。
これらの効果を持つ茸を用いて色々と試行錯誤した末に完成させたのが『エナジードレイン』と『幼化ポーション』であった。
『エナジードレイン』は弱体化の効果を第8のフィールドで手に入れられる呪いのアイテム等で掛け合わせて、強化した物で、玉手箱の『呪煙』ではアンフェの『神聖魔法』で解呪可能なのだが、この『エナジードレイン』によって起きたステータスとレベルの低下は半永久的な物となる。
『幼化ポーション』は
「折角肉体的な変化を出せるなら老化よりも幼児化の方が良いです。」
という雫の発想により、形態変化と聖樹の葉の再生を若返りの方面で活用して作り出したのだった。ただ普通のポーションと違いかけるだけでは効果が発揮されず、飲まないとだめなので今まで使われることは無かったのだ。
「種族的に弱いお前が私よりもステータスが高いのは色々とあると思うですけど、ある程度レベルが高いからだと思うです。これならステータスもレベルもどんどん下げれるです。それで駄目なら肉体的にも弱くなれるのもあるです。まあ使いたければ使えです。効果はわんこが保証してくれるです。ねっわんこ?」
「くぅん、くぅん。」
「まさかその狼にそいつらを飲ませたのか?」
「『エナジードレイン』の方は効果が単純だからやってないです。でも『幼化ポーション』の方は作った時、意味わからんかったですから試してもらったです。可愛かったですよ。出会ったばっかくらいの姿でしたです。」
「くぅん。わんわん。」
「お前、仲間にも容赦無いんだな。そうか…よし俺は最高の弱さのために飲ませてもらうぜ。」
雫の行動にドン引きした天邪鬼だったが思いきって飲んでみることにするのだった。
折角の春休みなのでちょっと新たに小説を書いてみることにしました。なんとなく新しい小説書いてるとそれに引っ張られてこっちの更新頻度も上がる気がするので。
一応、異世界転生?がメインです。




