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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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弱い天邪鬼

やっとテストが終わりました。長かった。

『妖術』とは魔力の代わりに妖力を用いたもので、妖怪たちは魔法よりも妖術を多用する傾向にある。しかしだからといってすべての妖怪が妖術を使って戦闘を行うかと言えばそうではない。鬼などの近接戦闘を主とする妖怪はわざわざ戦闘に妖術を用いない。

また妖力とは妖怪の性質を表すものであるため個体差が多く、妖怪七人衆と呼ばれるくらいの曲者であれば、彼ら特有の妖力の使い方をしている者が多い。そして根本的にある程度の力量の妖怪は顕現した瞬間から妖術が扱える。特にここ『妖魔街』は妖力が溢れておりここで産まれる妖怪ほどその傾向が強い。

そのため雫が訪れた『妖術』の習練所は一応妖怪七人衆が運営しているということになっているが、実際のところ妖術を教えられる者が少なく、この習練所は七人衆の序列七位の屋敷で行われており、他の七人衆は自身の配下の妖怪を派遣する程度で運営はその妖怪が担っている。


「コーンコン」

「ん?おお、シロ坊じゃねーか。久しぶりだな。元気してたか?ってーとそこの人族ちゃんがお前さんの主か。」

「はじめましてです。シズです。」

「おう。こちらこそ。俺はここの習練所で弱い奴らに妖術教えてる天邪鬼だ。宜しく。」


親しみやすい笑顔で接してくるこの妖怪こそ妖怪七人衆序列七位『天邪鬼』であった。


「弱い奴らにです?」

「ああ、妖怪としての格が高い奴は適当に教えても妖術くらい簡単に覚えちまうんだよ。そこのシロ坊もそうだったしな。基礎だが3日で妖術と仙術を習得しちまった。俺なんか妖術だけでも習得にかなりの時間が掛かったてーのによ。」

「うん?強いやつはすぐに覚えられるですよね。お前はヤミとかと同じで強い妖怪じゃないです?」

「まあ俺の強さは妖怪でも下から数えた方が早いくらいには弱い。そうだな。折角ここに来たことだし、一つ俺と戦ってみるか。俺の弱さは実戦じゃなきゃわかんねーだろ。」


という事で妖怪七人衆の一角でありながら自身を弱いと評する天邪鬼と戦ってみることになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


習練所の稽古場に対峙した雫と天邪鬼。いつもなら引き連れている鉄ちゃん、アンフェ、シロは見学である。一応の保険としてわんこだけは雫の影の中で待機しているが、死亡するような緊急事態にならない限りは手出し無用を厳命していた。折角、天邪鬼が弱さを見せてくれるそうなので、自分達の中で最弱である雫自ら戦ってみようと考えたのであった。


「シロ坊の主の実力を見せてもらうぜ。折角だ初手は譲ってやる。」

「そうですか。それなら遠慮なくです。」

「わ、わん!」


初手を譲られた雫は一つのボムを取り出す。本当に遠慮がない雫に思わず影中でわんこが突っ込む。


「心配ないです。これは室内で使っていい奴です。いくです。」


室内で使っていい爆弾があるかどうかはさておき、雫が放ったのは『爆炎槍』。一時期雫が夢中になっていたものの中に、爆発に指向性を持たせるという物であった。結局、やっぱり爆発は広範囲の方がいいです。という謎理論で錬成されなくなったが、こういった室内戦闘ではこちらも有用であるかもしれない。

爆発を単一方向にする要素を取り入れた分だけ火力などが疎かになっているが、それでも爆発の範囲を極小に絞っているので、その威力はかなりのものである。また範囲攻撃でなくなったため、命中力などに難は有れど雫が使うのだから問題はない。そんな爆炎の槍が避ける素振りすら見せない天邪鬼に直撃する。大ダメージ間違い無しである。

しかし爆煙が晴れたその先には無傷の天邪鬼が立っていた。それを見て少し驚いている雫に向かって天邪鬼は歓喜の表情を浮かべながら叫んだ。


「はは、スゲー威力。予想外だ。でも流石俺。俺、よえー。俺、最弱だぜ。」



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