時間操作系アイテム
亜人の街の錬金術師であるリクのところに来た雫たちだったが、ついて早々、門番を任されているランとセンにわんこたちが捕まってしまい、現在雫はアンフェのみをお供にリクのもとまで来ていた。そんなリクは種族進化を果たした雫を見て驚愕していた。
「久しぶりですリク。何か驚かして悪かったです。」
「ぉ~ぅ~」
「お久しぶりですねシズさん、アンフェ。ビックリしましたよ。シズさんの種族って『ホムンクルス』ですよね。錬金術師にとって一つの到達点と呼ばれている。ご自身で?」
「違うです。というか私の種族はそのほむん何とかってやつじゃなくて『フラスコの中の少女』って名前です。それに私じゃなくて第3の街にいた人にやってもらったです。」
「へー。もしかして特異種ですか。凄いなー。それで今日は種族進化を自慢しに?」
「それもない訳じゃないです。けど今回は造りたい物ができたですからその相談です。」
雫とリクは直ぐに本題に入った。雫が新たなスキルの再発動までの時間の短縮用のアイテムを造りたいことを話すと、リクは難しい顔をしながら深く考え込んだ。
「それは難しいですね。スキルを強化すればそういったものは多少改善するかもしれませんが、1日に一回という再発動時間を実用的な長さにするには何回かそれこそ進化を何度も繰り返すしかありません。しかし種族固有スキル、しかもシズさんは特異種ですから、スキル進化は容易ではありません。」
「やっぱりですか。」
「となると時間そのものを対象にするアイテムを造る必要があります。考えられるのは、使ってない状態まで巻き戻すアイテムか、再発動時間が来るまで時間をスキップさせるかのどちらかでしょうか。ただどちらもリスクを伴いますし、そもそも時間を操作するアイテムなんて伝説級のモノなので再現は難しいかもしれません。」
そんなリクの提案を受け雫は少し考え、思い出した。
「巻き戻しのアイテムですか。アレは用途が少し違うですけど、今回のために調節すれば…よしいいアイディアが浮かんだです。ありがとうです。」
「え、はい。お役に立てたなら光栄です。」
「そうです。リクにはお礼にこれをあげるです。この前のイベントで何個か手に入れたからやるです。」
「ああ、ありがとうございます。ってこれ!」
雫が手渡した『賢者の石』を見たリクは驚きを露にするが、あまりこの価値を理解していない雫はさっさとアイテム作成に意識を集中してしまうのだった。
雫が思い付いたのは、玉手箱のことであった。アレも平たく言えば時間を操作するアイテムである。しかし色々と問題もある。アレの成分を分析して生産できるようには出来るようになったがいかんせん材料不足のため大量生産は不可能である。それにアレをスキルの再発動時間に作用させるためには、色々とやらなければならないことが多い。
「よしです。頑張ってみようかです。」
「ぉ~ぉ~」
雫が気合いを入れ直していると、別行動中であった瞳からメッセージが届いた。水を差された気分で少しむくれつつメッセージを読むとこんなことが書かれていた。
[主。第8の街で新たなフィールドを発見した。しかし我単独では踏破に時間が掛かるため手伝ってほしい]
雫は即座に瞳と合流することにするのだった。




