錬金術師の報恩
雫たちは第3の街に来ていた。雫の種族進化を行うためだが当人である雫はあまりそういった情報について詳しくなく、自分の種族進化をどうしようか悩みに悩んだ瞳に案内されて目的地に向かっていた。
「そういえばあんまり第3の街には来ないです。イベント前は呪い集めで第8の街に行ってましたし、その前は第9の街ですし。孤児院がある第4の街とかまではよく行くですけど。」
「そうなんですか。呪い。早く第8に行かねば。」
「第8の街に行くためには何だったですかね?」
「わんわん!」
「ああ、二人組のボスだったですね。確か面倒だった気がするです。」
「ああ、無限回復ボスですね。パーティーなら攻略法は幾つか載ってるんだけど、ソロだと…」
「ふーんです。まあ頑張れです。」
そんな会話をしていると目的地に着いた。そこは錬金術師ギルドであった。
「だからギルドは苦手だと言ってるです。」
「でも『錬金術師の狂気』を受けるにはここしか。ってどうしたんですか?」
「いやなんか見覚えがある気がするです。」
「…わん」
雫はギルドが苦手なためそういった者には、立ち入ってこなかったため覚えていなかった。
中に入ってみると受付が声を掛けてきた。
「ようこそ錬金術師ギルドへ。今日はどのようなご用件ですか?」
「種族進化のクエストって受けられるです?」
「そうですか。種族進化を行える者はこのギルドに一人しかおりません。その者、ゴンゴ名誉顧問をお呼びしますが、彼は気難しいので気に入られなければ諦めていただくしかありません。それをご了承下さい。」
「わかったです。」
種族進化を受ける者だけ待合室で待っててくれと言われ、雫だけで待合室で待っているとそこに一人の老人が入ってくる。
「まったく。いままで誰も相手にせんかったくせに、手のひらを返すように。まあいいわ。それで今度の相手は…な、」
「どうもです。」
「あんたは。あのときのお嬢ちゃんじゃないか。お前さんのお陰でワシは、ワシは。」
「あれ?お爺さんに私、会ったことあったです?」
「お嬢ちゃんのくれた『知識の結晶』のお陰でワシの研究は完成した。ワシは錬金術師の夢『賢者の石』を完成させた。お嬢ちゃんのお陰じゃ。」
「まあよくわからんけど良かったです。それで私は種族進化をしたいんです。」
「勿論引き受けよう。ワシの力を全て使ってお前さんを最高のホムンクルスにしてやるわい。」
「助かるです。」
雫は全く覚えていない。老人が何を言っているか殆ど理解できていない。そのためなんだかトントン拍子に話が進んでいくこの状況をスルーすることにした。
「しかし材料が足りんの。お嬢ちゃんは何か素材を持っておらんか?」
「あるです。コレとかアレとか。」
「なんと!良いの、良いの。アイデアが沸きだしくるの。」
雫はゴンゴに協力することにした。
「『錬金術師の狂気』の特別条件を満たしました。『錬金術師の狂気』は『錬金術師の報恩』に変わりました。進化種族が『人造人間/ホムンクルス』から『フラスコの中の○○』に変化しました。」
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瞳たちが待っていると見慣れない老人と一緒に雫が出てきた。
「主、どうでしたか?クエスト受けられそうですか?」
「いや、終わったです。」
「え!主がクエスト失敗ですか?」
「そうじゃないです。もうクエストは終わったです。進化し終えです。私は人族から『フラスコの中の少女』になったです。」
「えっこんな短時間で。しかも聞いたこと無い種族名。まさか本当に特別種族に?」
瞳は驚きを隠せず性格が変わるほど反応するのだった。




