クランの名付け
クラン自体はなぜか設立している。その事は雫も理由を知らないがわんこが持ってきたカードで雫は盟主になっているため確かである。しかし名前は設定されておらずノーネームであった。クランの名前の設定、再設定や、などの基本事項はギルドで手続きが出来るようであった。クランにプレイヤーを加入させるなどのクラン運営に関することもクランホールを所有していないクランなどはギルドで行えるようであった。
「まったく。どうせクランを作るなら名前もちゃんとつけておけです。まあいくらわんこでも私に内緒で私のクランの名前をつけるのは勝手すぎるですね。許してやるです。」
「くぅん。」
「いや、我はいくら召喚獣とはいえ他者がギルド登録が出来ることに驚いた。まあ普通、ギルドに登録しない者の方が珍しい。というかチュートリアルでギルド登録までやらされたろうに。」
「チュートリアル?何ですそれ?」
「えっ、知らない。いや、それならわかった。確かにこのゲームはチュートリアルを受けるかどうか選べる仕様だから受けなかったってプレイヤーは多いから。」
「へーです。」
雫はチュートリアルなんて仕様は知らないのだが、雫の疑問を瞳はチュートリアルって何処で受けられたんだという風に誤解したようだが、話に置いていかれた雫はスルーすることにした。まあ当然、チュートリアルが何処にあったかなど見当もつかないため間違ってはいない
「最初、生産系のジョブだと思ってそっちのギルド行ったら違くて面倒だったから行かずのままです。」
「凄いな。そんな無謀でメリット皆無なことしたら序盤でポーション尽きて終わりそうだけど。」
錬金術だからこれまで何とかなったとも言えるかもしれない。それはそうとクランを正式に稼働させるにはギルドに行くしかないため、雫たちはギルドに向かうことにした。移動中、雫は面倒そうな表情を浮かべていた。
雫にとって未知の領域であるギルドに到着した。今後も活用する気など無いが今回だけは行かなくてはならない。しかし雫は渋る。
「面倒です。ギルド登録とかと同じでわんこがやっといて欲しいです。あ、でも受付の人と会話できねぇーです。なら瞳、カード渡すからお前がやってくれです。」
「それは出来ない。確かクランの手続きは盟主か副盟主本人で無いと出来ないようになっている。我もクランについてはあまり知らんが、少し前にそういう知らせが運営サイドからあったみたい。」
元々ギルドに登録していないプレイヤーの存在を運営としては想定していないため何件か思いもよらない事態が起きたため、急いで修正したようであった。その結果、クランの設定も盟主たち本人でなければ認められないという制約が出来たのだった。
「はぁーです。面倒ですけどしょうがないです。」
観念した雫はわんこたちを引き連れてギルドに入っていった。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか。」
「クランの名前の設定とメンバーの加入をお願いするです。」
「わかりました。では本人照会のためギルドカードをお借りします。その間、クラン名の設定をしてお待ち下さい。」
「はいです。ってそう言えばクランの名前とか全く考えてなかったです。」
ギルドのことで頭がいっぱいだった雫は目的を半分忘れていたようだ。
「ふふ、それなら『深淵なる』」
「却下です。」
「最後まで言ってないのに。」
「お前のセンスは私にはわからんです。小難しくて訳わからんです。こういうのはシンプルでいいんです。」
そういう雫の言うことはわかるが、瞳としても犬にわんことか鉄竜に鉄ちゃんとつけるほど単純にしたくはなかった。
「じゃあ、どんな感じにするつもり?」
「そうですね。もう面倒ですし『神の雫』とか『黒い瞳』とか『わんこと龍』とかでいい気がするです。」
「む、まあ最後は除いて他は案外まともか。ただやはり神ならば邪神とか、」
「じゃあ『神の雫』で良いですね。」
クラン『神の雫』が発足した瞬間であった。




