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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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沼に籠る者

話に夢中であった雫たちの足元の沼から数人の人影が飛び出し、攻撃を仕掛けてくる。当然だが雫とアイは敵の奇襲に反応が遅れる。ここで言う当然とは話に夢中で周囲警戒を怠っていた二人が遅れをとるのは当然と言う意味と、雫ならばフィールドが森でない限り隠れている敵に気が付かないし、万が一も無いと思うがもし気が付いていても反応できないだろう事を意味することは言うまでもないだろう。




「そこのお嬢様方二人には悪いでござるがお命頂戴いたす。」




 外国人がしてそうな忍者の格好で現れた数人のリーダーぽい人が代表して宣言する。奇襲なのだから声を掛けずともよいと思うが彼らの信条なのだろう。この襲撃に対して雫やアイは兎も角、わんこたちも対処する様子がなく、忍者たちは自分達の奇襲が完璧に決まったと考えた。


 その考えは半分は正解していた。雫たちが話をしてる最中も周辺警戒をしていたわんこたちは、忍者たちの存在にも気付いていた。しかしまさかこのタイミングで仕掛けてくるとは思わなかった。そこまで馬鹿だとは思わなかったのだ。




「もらったでござ…!なん、わっ。」


「忍頭!」




 偶然なのか、わんこたちは挟み撃ちになっていたのだ。忍者たちとこの沼エリアのボスに。忍頭と呼ばれた者が沼から出て来て舌に捕らえられ、反対側の沼に引きずり込まれた。その間に動揺した忍者たちを素早く倒しきるわんこたち。しかしその顔は暗かった。


 本来なら挟み撃ちされる前に避けるなりの対処をするべきだったのだが、最初沼に隠れる忍者たちを発見した時対処可能だと判断し雫に告げずに進んでいたが、ボスの存在に気が付いたのは本当にギリギリになってからであった。そのため忍者たちはわざと誘い込み、ボスと戦っている後ろから攻撃をしてくるとわんこたちは判断しており、その準備をしていた。しかし忍者たちはボスの存在に気づいてはいなかった。




「びっくりしたぁ。あ、ふふふ、我としたことが少し遊戯が過ぎたな。この程度で狼狽するとはな。それにしてもこれがこの地にプレイヤーが居らぬ理由か。」




 戦闘に入りアイはスイッチを切り替え口調が変わる。それと同時にプレイヤーの少ない理由にも思い付く。イベント時に配置されるボスは大抵の場合、強いくせにイベントのポイントなどに関係ない場合が多い。そのため見掛けたら逃げる者が大半である。しかし見た限りこのボスは沼に潜伏しながらプレイヤーたちを襲っている。そのため通常よりも多くのプレイヤーが被害にあった。もしくはこのエリアから逃げたのだろう。


 アイの予想は目に見える形で正誤が判断できた。忍者を倒しボスがいるであろう沼に視線を向けてもボスは沼から上がっては来なかった。試しにアイが遠距離魔法を沼に撃ち込んでみるが手応えは無い。




「っと危ないな。流石にいると分かっていれば避けるなど容易。だが我には沼に引き籠る者に対する有効打は無さそうだ。」




 今回のイベントのボスには各々に特徴があった。森エリアにいた蜘蛛は捕らえられぬ速さを、雪原エリアにいた不死鳥は無限の体力を、そしてこの沼にいる姿を見せぬボスは堅牢な耐久を持っていた。そしてそれは沼に籠ることでより攻略が困難となっていた。仮に鉄ちゃんが鉄龍砲を全力で放っても泥水の壁で威力を減衰され、大したダメージを与えられないだろう。そして相手は長い舌で攻撃してくる。いっそ舌に攻撃を食らわせようかと考えていると、ずっと黙っていた雫が満面の笑みで呟く。




「沼が邪魔です。ならいいこと思い付いたです。」

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