錬金術師の可能性
現在雫はリクの家に来ている。錬金術師であることを話すと、リクが雫により一層の興味を持ったのだ。
「いやシズさんが、僕と同じ錬金術師だとは思いませんでしたよ、凄腕の戦闘職の方だとばかり。」
「僕と同じってことは、リクも錬金術師てことです?」
「はいそうです。人族には錬金術師ってあんまりいないと聞きますが亜人にはけっこう錬金術師はいるんですよ。」
「なんでですか。」
「錬金術師というか生産系の職業が人族より発達してるんです。なんでというと、亜人には魔法が不得手な者が多く、属性というものを攻撃に取り入れられない種族だったのです。そのため、錬金術師などが武器や防具に属性を付加するすべが発達したと言われています。」
「属性、属性?」
「わかりませんか。例えば火や水といった魔法における基本系統のことです。その他にも様々な属性があると言われています。」
「なんとなくはわかったです。」
「シズさんはあまりこの世界について詳しくないご様子ですね。」
「そうなんです、よくわかんないです。そういえば亜人ってのは人族以外はみんな亜人なんです?」
「いえ、モンスターの特徴を一部分持った種族のことを亜人といい、エルフやドワーフのようなのはまた別のくくりの種族がいたりというように別れています。」
「そうなんです。そういえばセンさんは、魔法が得意そうだったです。」
「お姉ちゃんは取得難易度の高い空間魔法の『障壁』を使えます。才能がなくては取得すらできない空間魔法なのに、それを使いこなしてるお姉ちゃんはとても誇らしいです。」
「ふーん」
「そういえばさっきの話ではやはりシズさんはサポート役なんですよね。」
「そうです。」
「それならいいものを上げますよ。僕が長い年月をかけて作り上げた一品を。」
「そんな大切なもの頂けないです。」
「いいんです。シズさんには借りがあります。」
「借り?」
「あいつを、ランをぶちのめしてくれましたからね。あのストーカーを。」
らん。雫が倒した門番のもう一人である。
「ストーカー?あれカップルじゃなかったですか。」
「そんなわけないでしょ。あいつはお姉ちゃんが好きで、門番をお姉ちゃんが任されたのを知って自分も門番になったんです。だからあいつをぶっ飛ばしてくれて感謝してるんです。
とっあったあった。これです。」
雫はお姉さんのほうも倒したのにな、とは思ったが話がめんどくさい方向にいかないために黙っていることにした。
「ありがとうです。これは指輪ですか。」
「そうです。錬金術師は錬成で素材を掛け合わせます。それとは別に魔法やスキルなんかを掛け合わせれないかというコンセプトで開発されたのがこれです。」
「すごいです。そんなことできたです。」
「はい。かなり苦労しましたが。それでこれは障壁魔法を指輪に付加しています。まあ付加というよりも封印といった方が正しいかも知れません」
魔法の指輪 魔法の消費MPの減少。障壁魔法封印状態。
「これを着けて障壁魔法とでも叫べば障壁が現れて守ってくれる仕組みです。とはいえ本当の魔法には叶いません、お姉ちゃんは障壁を同時に何個も展開できますがこれは一個しか出せません。」
「すごいアイテムですけど、スキルとか魔法の封印ってどうやってするです?」
「魔法やスキルが本や巻物から習得できるときがありますよね。」
「たしかにあるです。」
「その本などの中の魔法やスキルを付加したいものに向けて封印をかけるとできます。まあ失敗の方が多いので覚えられるものは自分で覚える方がいいですけど、アイテムに封印すると魔法はMP消費なしで魔法が使えるので私たちみたいなMPが少ない種族には重宝される技術なんです。僕がこれを開発できたのもお姉ちゃんが街有数の魔法使いだったお陰でそういった本とかのアイテムが大量にあったお陰なんですよ。」
「へー」
残念ながら雫は半分以上理解できていない。というか属性の話からあまりついていけてない。
「シズさんでもすぐにできるようになると思います。」
何を?といわないだけの心配りは雫にもできた。
「いろいろとありがとうです。それではです。」
雫は逃げるようにその場を立ち去った。
「すごいいっぱいしゃべる人です。まあすごいアイテムももらえたし良かったです。わんこもご苦労様です」
「わんわん」
雫は理解できてない。俊敏さに長けたわんこ、
一撃一撃が重い鉄ちゃん、広範囲攻撃と馬鹿げた命中率を誇る雫。今までは鉄ちゃんかわんこが雫を守って戦っていたが雫が身を守る術を身に付けることができたら雫達のパーティーはまた格段に強さを増すということに。




